「お前自分のしたこと悪いとか全然思ってないだろ?」
「だって俺は恭介のこと!」
「はいはい、俺のこと大好きで、抱きたかったんだよね。それはね、分かっているけど。人の気持ち無視してやっていいことじゃないだろ?しかも、ただ抱きたいなだけじゃなくて、俺のことを笑いものにするかのように、全く人の気持ちを考慮しない、最低のセックスだった」
「そんなつもりじゃ」
「そんなつもりじゃなかったのも、分かっているけどな。それを分かるのと、許すのでは違う。しかも玲人に八つ当たりまでして。少しは成長しろ」
玲人も手がかかるけど、舜一も図体ばかりでかくなって、余計手に負えない。
「謝れば、俺のこと許してくれるのか?」
「謝罪は要求するものじゃないし、本人の本心からの謝りたいと思わないのなら要らない」
2人とも反省しているのじゃなくて、俺に許してもらいたいだけなのがありありと分かるから嫌だ。
「ごめん、悪かった!……もう、あんなことはしない。恭介の意思に反して、行為を強制したりしないから。だからっ」
あ、やっと謝った。けど遅すぎるな。
「でも、簡単にお前のこと許したりしないから」
「何で!玲人はっ!」
「玲人は玲人。あいつなんか毎日毎日何十回も謝りに来ても俺は許さなかったよ。だって、お前俺に何したか覚えている、言ってみろよ?」
「……」
「言えよ」
「……強姦した」
「そうだよ。女じゃないし、犬に噛まれたとでも思って忘れようとしたけどな……男が男に犯されるんだぞ?無理やり、尻の穴広げられて、お前のでかいペニスを突き刺さされて、玲人と3P。あー、今思い出しても最悪。一生トラウマになりそう」
本当はもうそれほど気にはしていないけど、このくらい言わないと反省しないだろ。
「玲人のことは抱くのにか!?」
「玲人は俺が受けた痛み以上のことをやってみせた。お前なんか一度謝っただけじゃないか?それで許してもらえる気でいると思っているのか?」
舜一に玲人と同じことをやってもらっても俺のダメージが大きすぎてごめんだけどな。
玲人の時だって、相当頭が痛かった。ここまでしなくてもという思いで。実はあっちのほうがトラウマになった。
「なら……これくらいか?」
キッチンまで歩いていって、戻ってくるとその手にはカッターが。取り上げようとする前に、自分の左腕を切りつけた。
「この位痛かったか?もっと切ろうか?」
俺は血が苦手だ。舜一の血を見た途端、貧血で倒れそうになったのに、まだ切るとか言って、2箇所目を切りつけたのを見て、正気に戻った。でも今にも倒れそうだけど。
「ちょっと、止めてくれよ。どうしてお前たちは自分で自分を傷つけるんだ!見せられるこっちの身にもなれ!」
タオルを取りにいって、止血する。動脈などは傷つけていないようで、出血多量で今すぐどうこうなるような傷ではないようだが、俺は医者ではないし、傷もこれは縫わないといけないレベルだろう。
しかし出血している舜一よりもきっと俺の顔のほうが青いだろう。俺は本当に血が嫌いだ。手当てをしないといけないという使命で意識を保っているが、本当は気絶したいレベルなのだ。
「もっと、やろうか?どのくらい傷つければお前と同じ痛みになれる?」
「すんな!もう良いから!水に流してやる」
こうでも言わなければ、また同じことをきっとやる。こいつは痛みに強いのか、
痛そうな顔をしていないが、俺のほうが痛いわ。