捜索禁止 | ナノ




冬夜は勿論アイネの言う事を聞いて、大人しく週末だけを待っていることはできなかった。

アイネという存在を自分だけの物にしたくて、我慢できない。
自分の懐に常にいるのならともかく、野良犬のように気が向いたときだけしか来ないアイネの本名も知らず、どこに住んでいるのも知らず、どんな学校生活を送っているかも知らないままにして置けるはずはない。


「見失っただと?」

冬夜はアイネが週末自分の下で過ごし、自分に戻ってくるのをただ見ているわけではなかった。部下に後をつけてアイネの家及び、身元を確認するように命令した。

「申し訳ありません。総長……」

冬夜の蹴りを受けて蹲りながら、そう謝罪する部下を冷たく見下ろしていた。

「どうして毎回毎回、巻かれるんだ?」

副総長がそう尋ねるが、部下は気まずそうに言いにくそうに、蹲りながら吐き出した。

「ママチャリなんです!」

「はあ?」

「アイネは途中まで歩いていくと、ママチャリに乗って帰るんです。歩いて後をつけたときは、走っても追いきれずに……今度はバイクで後をつけたら、逆にママチャリが遅すぎて後を追えずにっ」

「馬鹿か!お前もママチャリで追いかければいいだろ!」

「え?別にママチャリに拘らなくてもいいだろ?普通の自転車で……っていうか、もっと科学的な追跡できないの?アイネにGPSつけるとか」

「アイネは何故か勘が鋭い……そんなものつけたら、すぐにばれるだろうよ」


ママチャリもすぐにばれた。


「アイネが来ない!貴様らが無能だからだ!」

冬夜の八つ当たりによって、半殺しになっている部下たち。

ママチャリによる追跡がばれて、アイネが当分来ないと、メールを寄越したのだ。アイネは冬夜のメルアドは知っていても、アイネのものは知らない。
このメルアドもフリーメールから送られてきたもので、東京のある漫画喫茶から送信されたことまでは追跡できたが、それ以上は無理だった。

「アイネって……放置プレイっぷりも凄いよな。一週間ぐらいのお仕置きとおもいきや、もう2ヶ月も冬夜を放置ってなかなかできることじゃないよな」

勿論アイネは冬夜の限界を見通して、放置プレイを楽しんでいるのだが、そんなことはこのデスプレットの集団は分かるはずもない。普段アイネが平凡な稲沢という同じ高校に在籍していることなど、知るはずも無かったからだ。
アイネは学校で冬夜を観察し、弟にも連絡を取って手出しされてないか確認し、冬夜が暴走しなければもう永遠に現れなくてもいいなとさえ思っている、放置っぷりなのだ。



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