扉をたたく人
##amz_B002QBT2UK#S#
私たちは極東の小さな島国に住んでいますが、自分たちをちっぽけな存在だとは思っていません。西欧諸国に勝るとも劣らぬ経済力と技術を得て、肌の色を比べる相手もおらず、ほんの数センチの股足の長さや髪の毛の質、目の形やエラのはり具合でしか他者と差をつける術を知らないからです。
今世紀に入ってすでに十数年。現在ではアメリカのみならず、世界中で異なる文化、異なる価値観の人間が混ざりあおうとしています。しかし肌の色や骨格そのものの違い、言葉の違いの壁は大きく、何より長く鎖国してきた島国で育った我々が他国の人々を受け入れ、他国の人々に受け入れてもらうには、これまで以上の努力を要するでしょう。
異国の文化をどの程度知った気でいるのか。
ほんの短い人間の一生の中で、私たちは自分自身の何を守ろうとしているのか。物理的で狂暴な攻撃がなくても、年間で数万人の若者や老人が自ら命を投げ出している我が国の異常事態。本当に恥ずかしい態度とは「あれは自分の問題ではない」と目を背ける行為そのものではないでしょうか。
この映画はアメリカにとっては過ぎ去りつつあり、既に大きく変化している問題。日本にとってはこれから起こる問題をストレートに描いています。時代の心を打つ映画とは、他国の議論の足跡でもあります。解決どころか日々深まってしまう国々の溝の狭間で、お互いが人間であることを忘れないでいましょう。
いい映画でした。
※思った以上に「わたし、酔ってたの?(自分に)」と聞きたくなる内容だったので追記しときます。
上の感想の3ヶ月後、トランプ大統領が当選。移民問題のちゃぶ台をひっくり返しにかかりました。いやー。でも2001年でああでこうなら、そうなるよな。やっぱり世界単位で考えていく日が来てるんだろう。そのとき日本人……若い世代はグローバルかもしれないけど、中高年はどう向き合ったらいいんだろうね(20170225)。
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