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10/8更新
注意書き!
・時間旅行夢主で学パロです
・戦国三國、両方のキャラが出てきます
・先生や生徒の割り振りは結構いい加減ですが、ご了承ください
学パロが苦手な方は、申し訳ございませんが閲覧をお控えください。
上記を読んでいないと思わしき苦情は受け付けかねます。
では、「大丈夫だ」とおっしゃってくださる心の広い方でしたら↓よりどうぞ!
文化祭そのC
(その@・A・Bはコチラより)
勢いでああ言ってしまったが…
さて、どうしたものか。
何とか他のクラスから聞き出し、打開策を練るか、いっそ諦めて元就先生の補習を受けるか…。
いや、後者は精神的にも身体的にも死んでしまいそうだ。
この前の補習は補習とは名ばかりの、元就先生の話を聞く会だった。
休み丸一日潰して、朝から晩まで元就先生の話を聞いた、が…
それは軽い挨拶程度の話だったようで、そこから本題に入るって言われたのを覚えている。
あの時はさすがに逃げた。
朝の七時半から夜中の二時まで……。
よく耐えたな、私。
しみじみとその時の事を振り返っていたら、盛大なため息が漏れた。
まあとにかく補習は嫌だし、やっぱり何とかして他のクラスの出し物を探るしかない。
そうだ、まともな人ならば詳細までは答えてくれなくとも、ある程度は教えてくれるのではないだろうか。
なんて思いながら、人の多い購買でクリームパンを買おうとしていたら、人波に押されて倒れそうになった。
「わっ」
前のめりになって、まずいと思った瞬間
「おっと」
ふわりと大きな手がお腹に回って受け止められ、事なきを得る。
「これですか?」
そのままもう片手が、私の狙っていたクリームパンを二つ掴み、問いかける。
「あ…は、はい」
首をひねって確認すれば、私を受け止めてくれたのは趙雲さんだった。
彼はそのまま私の分の会計まで済ませると、手を優しく引いて、人ごみをスイスイと抜ける。
一度こちらをチラッと振り向いた趙雲さんは、爽やかに笑って「お昼は是非ご一緒に」と言った。
「趙雲さん、お金…」
中庭に座ってクリームパンを頬張りながらお金を差し出すが、彼は「大丈夫です」と言ってそれを受け取ってくれない。
「でも…」
「本当に大丈夫ですよ」
「そ、それじゃあお言葉に甘えて」
趙雲さんは「はい」と返事をして、パンをモクモクと食べる私を微笑みながら見ている。
ほんとにもう穴があくほど見てくるから、徐々に視線を逸らさざるを得ない。
「た、楽しいですか?私なんか見て…」
「ええ、とても」
爽やかに笑いながら言われれば、私は赤面した顔を片手で覆って隠し、俯くしかない。
(たまにおかしくなる時をのぞいて)この人は女性が求める男性像の理想を詰め込んだような人だ。
穏やかで紳士的で、槍術部では幸村さんと一二を争うような腕前で…
まあ実はとんでもない年齢だっていう噂があったりなかったりするけど、それは置いといて。
それにこの人は何故か私に良くしてくれる。
今日みたいに助けてくれた上にパンおごってもらったり…
ああ、おごられっぱなしじゃアレだから、ちゃんとお礼はしなければ。
とにもかくにもふとした瞬間にこの男前にはコロっとおちそうになる。
気を付けなければ。
「……」
いや待てよ、こうやってよく考えたらこの人は無双学園の中では(おかしくなる時を除いたら)まともな人じゃないか。
話せばもしかしたら蜀組の出し物を教えてもらえるかも…。
教えてもらえないとしても、敵の敵は味方。
魏・呉・晋組の出し物を探る手助けをしてもらえるんじゃ…
ううん、憶測だけじゃだめだ。
聞いてみよう、思い切って。
「あの、趙雲さん」
「はい?」
「ええと、無理を承知でお尋ねするんですが、蜀組が文化祭で何をやるか教えてもらうことって……」
趙雲さんは少し困ったように眉根を寄せて、視線をわずかに逸らしてしまった。
「それは…」
「あ、いや厳しいですよね、すみませんこんなこと聞いちゃって」
「申し訳ない。あなたの願いとはいえ、皆に口止めされていては…」
「いえ。どのクラスも売上げ競ってますもんね」
苦笑いを返して、私は膝を抱えてため息をつく。
うーん、やっぱりなあ。
もうちょっと別の方法で探るしか…
「ですが、」
はっと顔をあげて趙雲さんを見る。
彼は魏組や呉組がある方向を眺めながら、ひとつこんな言葉をこぼした。
「他のクラスが何をやるのかには、私も興味があります。軍師殿も皆に探ってくるようにとおっしゃっていた」
「諸葛亮先生まで…。あの人がそう言うくらい、文化祭って大変なイベントなんですね…」
もうこの前の体育祭の騎馬戦よりすごい事になりそうだ。
「あの、よろしければ…」
一縷の望みをかけて立ち上がり、趙雲さんに手を差しのべる。
「一緒に探りませんか?」
「……」
彼は私の手をしばし見つめた。
そしてにっこり笑うと、私の手を握って立ち上がる。
「私も他組の事が知れて、あなたとも一緒にいられる。断る理由はありませんね」
思わず私は満面の笑みを浮かべた。
「ありがとうございます、趙雲さんが一緒なら心強いです」
人任せで色仕掛けをやれやら何やら言ってた戦国組に比べたら、なんて頼もしい味方を得られたんだろう。
感動すら覚えながら趙雲さんの手から伝わる温もりを感じていたら、彼は両手で私の手を包むと、また爽やかに笑った。
「諸々うまくいったら今度是非あなたの部屋に招いていただきたい」
「うんもちろ……いや待って、それに関する返事は保留にさせてください」
前言撤回。
敵の敵は味方ではあると同時に敵でもあるんだ。
訳が分からなくなってきたが、結局そういうことだ。
爽やかに微笑む趙雲さんを見て、頼もしい味方を得たと喜ぶと同時に、この選択は合っていたのだろうか…という疑問を自分に投げかけた。
頼もしくて恐ろしい味方、趙子龍を得た!
長引く文化祭。
まだ続きます。
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