ハードな部活を終え、くたくたになった俺達はゆっくりと更衣室で着替えていた。

「うひゃー 泥まみれ」
「お前こけすぎ」

茶色く汚れたユニフォームを見ながら呟く俺にわざわざ突っ込んでくる先輩。

「あの必殺技、バランスとるの難しいんすよ!!」
言い訳を述べる俺はやっぱり幼くて。
「ならやめりゃいいだろ」
南沢さんのご尤もな意見に何も反論できずあっさり口を閉じる。

「でも絶対完成させてみせますもん」
「はいはい待ってるよー」
心の内に広がる悔しみはどうすることも出来なかった。

脱いだユニフォームを鞄の中にしまう。
ふと隣にある先輩の鞄を見てみると、可愛い絵がプリントされた封筒で溢れており。
「また女子からの手紙っすか?」と訊くと
「ああ」予想通りの答えが返ってきた。
やっぱり同じ男として羨ましく思う。
「いいなぁ手紙」
そう小さく呟いた後

「じゃあ俺がお前にやるよ」

とんでもない言葉が聞こえてきた

「な、何を言うかと思えば、南沢さん冗談キツいっすね!」
「冗談なんかじゃないぜ。」
「は…!?」

南沢さんは制服のポケットを漁り、半分に折られた一枚の紙切れを取り出して
「ん、」
無愛想に俺へ手渡した。
俺は勿論何が書かれてあるか分からないので、開いて見ようとすると
「おい」南沢さんの手がそれを制する

「何今見ようとしてんだ」
「駄目なんですか」
「当たり前だ」

微笑んだ南沢さんは首を傾げる俺の耳元で
「家に帰ってからのお楽しみ」
そう囁いて部室を後にした

胸の奥が少し縮む感覚。未知の苦しさに、動かずにはいられなくなった。
何故苦しいのかは分からない、でもこの右手の中にある紙を開けばきっと分かる。

「…ごめん、用があるから先に帰る」


俺はあの人に言われたことをちゃんと守って帰宅した。
二階にある部屋へ駆けこみ、息を整えてからそっと紙を開く。

紫のペンで綺麗に書かれた数個の文字。
思いがけない先輩の告白に一瞬困惑する。

でもよく考えてみると俺は他人と比べて貴方に依存しすぎているし、普段はむかつくなどと言っているが、事実、貴方と喋っている時間はとても楽しくて幸せだった

いつも貴方の傍に居た。


『お前だけが好き』

「好き、」
その言葉は俺の中へすとんと落ちる。

気づいた貴方の恋心、
やっと気づけた俺の恋心。

ああ、痛みの原因はこれだったんですね








青春ボイコット様へ提出

素敵企画に参加できてとても嬉しいです、ありがとうございました(^ω^)

南倉広がれー!!



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