「まさか君とここで出会うなんてね」
「久しぶり、ヒロトくん」

東京のとある大きな橋の上で、僕達は再会した
本当に"まさか"というような場所だった
「吹雪くんは住まいが北海道だったはず」
「ちょっと仕事でこっちに来てたんだ〜
ヒロトくんに会えるなんて思ってなかったよ」
あははと笑いを交わす
懐かしく、どこか切ないこの空気
「あ、仕事でしょ?時間大丈夫?」
「全然平気だよ、もう終わった」
「そうなんだ」
何を話せばいいのかお互い悩み、僕達の間を秋風が吹き抜ける
「…何年ぶりだろう」
先に口を開いたのは僕だった
「ヒロトくんと二人っきりで過ごすのは」
「そうだね…高1の夏休み以来じゃないかな」
「うん、それくらいな気がする
皆でサッカーしたよね」
「したした。皆"サッカーが好き"っていう気持ちは変わってなくて、とても楽しかった」
「僕も。凄く楽しかった」
他愛もない昔話。
橋の上から見える夕陽はそういう話を思い出させるのには充分なもので。
「また皆とサッカーしたいなぁ」
「体力は随分落ちたけどね」
ふとヒロトくんの横顔を覗く
昔とそんなに変わらない顔立ち、細くて綺麗な赤い髪、夕陽に照らされてオレンジ色に輝く肌。
肌に関してはきっと僕も同じような感じなんだろう

「ねぇ、吹雪くん」
「なぁに?」
「…ザ・バース」
「え?」
「ザ・バース、打ってみようよ」
ヒロトくんはとんでもないことを言い、僕に笑顔を向ける
「でも…」
「近くにサッカー少年達が練習してる場所があるんだ、行こう!!」
僕はヒロトくんに腕を引っ張られながら昔と変わらない彼の行動力に微笑んだ

「ほら。ここ」
連れられた場所では本当にサッカー少年達が練習していた。
「ボール借りよう!! すいませーん」
子供にうまく話しかけるヒロトくんはやっぱり流石だなぁと思う。
お日さま園でもこのような感じで居るんだろう
「吹雪くん!!」
ボールを持って僕を手招きするヒロトくんの元へ僕は走った。

「準備はいい?」
「OK」「よし」
少年達が安全な場所へ離れたのを確認し、僕達はぐっと意識と力を集中させる。
体を取り巻く淡い水色。赤色。
そして同時に翔ぶ。
水色と赤色を上手く絡ませながらシールドを張る。
最高地点へ達したときその力は最強となる。
「「ザ・バース!!!!!」」

辺りは綺麗な黄緑色となった

ボールは見事にゴールへ入る
少年達は歓声をあげた。
「上手くいったね」
「うん、良かった!」
ヒロトくんはボールを貸してくれた少年へボールを返した

僕はヒロトくんと一緒に駅まで歩いていた
「次会えるのはいつだろうね」
「30歳とかかも」
「うわぁ…吹雪くんが30なんて考えられないよ」
「もっと皺増えちゃいそうだぁ」
「あはは、吹雪くんらしい悩み」
今僕達は笑い合っているが
本当に次いつ会えるかなんて分からないんだ
そう思うとやっぱり辛くて。
「ヒロトくん」
「何?」
「…ずっと友達だよ」
俯きながらそう彼に言う
しかし返ってきた言葉は
「何言ってるのさ」で。
心は"がーん"という音を立てて堕ちた
「えぇっ…」
心底悲しい目を向けたらヒロトくんは凄く焦って
「違うよ!!」と言う。
何が違うのか、僕には分からなくて困り果てた視線を送り続ける。

「俺達は、親友だろう?」

「親…友、」
言ったことも言われたこともあまりない新鮮な言葉に僕は感動を覚える
心は踊り始める
「うん…!!親友!!」
「こういうの子供っぽいかもしれないけど、俺達の今の関係にはこの言葉がぴったりだ」
「そうだね…うん…親友…」
何度も唱えて喜びを噛みしめる。
「そんなに嬉しかった?」
ヒロトくんは笑いながらそう訊ねる
「勿論!!」
僕には宝物のような言葉なんだ
「そっか」
僕も、ヒロトくんも微笑む

目的の駅について、僕は改札の前で振り返る
「じゃあ…」
ヒロトくんが手を挙げる
「うん、さよ」
僕も同じように手を挙げようとしたが
「さよならじゃないよ、吹雪くん」という言葉によって制される

(そうだ…昔から、イナズマジャパン皆と決めてきたね)
僕は改めて手を挙げて

「ヒロトくん、またね!!」
「うん、またいつか!!」

希望の言葉を交わしたのだった








ふぶきやまの日おめでとう(*´ー`)
24歳になっても仲良くしててね、という願いをこめて!!

ザ・バース!!




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