うだめ



(ああ
終わらない)

それは毎年湧き上がる感情。
夏休み終盤の風物詩ともいえる

そう、夏期休暇課題

それは大きな壁となって俺を苦しめる。
薄く、高い壁。
((薄いからといってすぐ壊せるわけではないのが
この夏期休暇課題の難点である))

今俺は休憩時間を使って英語の課題に立ち向かっている。
広くて大きな部屋に、たった一人で。
「あああもうだめだ分からない!!やる気ゼロ!!」
つまり、分からないところがあっても誰にも訊けない。
悪い状況ではあった。

「答え丸写ししてぇ…」
思わず零れる本音。
ぽつりと呟いたその言葉に
「せこいな」
返ってくるはずのない返事。

「だ、誰」
「びびってんじゃねーよ 俺だって」
先程の返事はどうやら南沢さんだったらしい
「南沢さんか…」
南沢さんは俺の席の前に座った。
そして英語の課題に目を向ける
「面白くないでしょ、後輩の課題見ても」
「ああ。全く面白くない」
南沢さんはふっと苦笑いしてそう零す。
「じゃあ何で来たんですか
外で三国さん達と喋ってる方が何倍も楽しいですよ」
俺は問いかけた。
心の中では二人きりのこの空間を
もっと味わいたいという感情が大きく揺れている
行かないで、と届かない気持ちが脳内をも駆け巡っている

南沢さんは暫く黙ったあと静かに口を開いた
「倉間がいないとつまんないからな」

一瞬俺の全てが止まった。
目を見開いた俺を見て小さく笑う南沢さん。
いや、目を見開いたことだけで笑ったのではないだろう
血が上っているのが分かる
「どうした?顔真っ赤だぞ?」
「〜っ!!」
ほら、予想通り。
「そんな可愛ーい倉間くんには俺が勉強を教えてやろう」
「え!?で、でも…」
「お前が嫌って言うんなら帰るけど?」
「あ、いえ…教えて下さい…」
その答えを聞き、南沢さんは笑顔を見せた

冷めない俺の顔。
もうやだ隠れたい、そう思い、俯こうとする
しかしそれは目の前の彼によって制された
「下向かないで俺の顔を見ろ」

顎を持ち上げられ、南沢さんと目が合う。
(おかしいな、何でこんなに…カッコいいんだろう)
何もかもが吸い込まれそうになった
(もしかしたら、キスされるんじゃ)
しかし

「勉強しようか倉間くん」
「…はい」
その南沢さんの言葉により
一気に望みは砕け散り
向き合いたくもない現実に引き戻されてしまう

(でも南沢さんと一緒に勉強できる)
そう思えば気が軽く感じられたのだった








んー…あれ…
甘い南倉書こうと思ってたのに…
脱線事故を起こした気が

課題が終わらないということです、はい



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