_めりくり From SeMeTe


「テオさま、如何なさいました?」
「あ、ハイネ、丁度いいところに! これだよ、これこれ!」
「……何でしょう、この歪なる白い物体は」
「判らない? クリスマスケーキに決まってるじゃないか!」
「決まっているのですか。まあいいでしょう、この洋菓子業界にある意味旋風を巻き起こしそうなケーキらしきもの、どうされたのです?」
「勿論、作ったんだよ! 僕が!」
「ああ、道理で。納得がいきました」
「……褒めてないよね?」
「いいえまさか。テオさまがお望みとあらば、不肖このハイネ、語彙の限りを尽くして無理矢理褒めて差し上げます」
「……もういいよ。ごみ箱行きにするから」
「勿体ないことをなさらずに。三十分あまりの時間と、このケーキをお借り出来ますか?」
「うん? 構わないけど……どうするの?」
「リメイクしてみせます」



「出来ました、テオさま」
「う、うわ……! え、これ本当にさっきのやつ? ウェディングケーキみたいに豪華になってる! 美味しそう!」
「貴方の従者を舐めていただいては困ります」
「うん、有り難うハイネ! これで父上達とパーティーが出来るよ!」
「……両手の平に乗る程度の大きさのケーキを囲んで、六人でパーティーですか?」
「駄目かな?」
「……いえ、まあ。お好きにどうぞ(失敗する予感しかしませんが)」



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「見えない臓器の名前は」
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