_めりくり From VASiTA


「へえ、クリスマス?」
「ああ、クリスマスだな」
「……」
「……」
「びっくりする程俺達に関係ないんだけど。いや、敵国である列強どもの間で盛んな一大イベントを日本で取り入れようとする無謀っぷりは称賛に値するけどね」
「寧ろ、謀反かなにかで捕縛されても文句は言えないな」
「ではお二人とも、ケーキは不要ですね?」
「「要ります」」
「単純だな、お前ら」
「時に、ワインはジュースではないのだが?」
「ンだよ、どうせ楽しむなら全力で楽しまねえと意味無ェだろ」
「うう、だったらボクにだけ禁酒令を敷くのは止めてくれないか。周りが呑んでいたらボクも無意識に唾液を飲み込んでしまうのだが」
「一週間の自宅謹慎食らって実家送りになって、可愛い可愛い妹の眼をかい潜るのが嫌じゃねえならお好きにどうぞ」
「うー……酒癖の悪さは改善しようとは思うのだよ? ただ実を結ばないだけで」
「流石顔だけ男」
「まあまあ、それよりケーキは如何です? 中々美味ですよ」
「今日ばかりはキミが神様に見える!」
「ふ、当然ですね。これはただのショコラケーキです、ウィスキーボンボンなんていうオチはありませんので心おきなくお召し上がりください」
「いただきます!」
「っつか、何が悲しくて俺までクリスマスパーティーに駆り出されンだよ。家には嫁が待ってるんだが」
「奥方と熱い夜を過ごそうという貴方の思惑を阻止する為の、お酒大好き既婚者を嵌めよう大作戦ですから」
「はぁッ!? 初耳だぞてめえ待てこら!」
「事前にネタバレしてはドッキリの意味が無いじゃないですか! あはははは、このお馬鹿さん☆」
「てッめえええ首絞めさせろ!!」
「平和だなー……」
「平和が何よりだな」
「まさかこの作品でそんな深い結論に至るとは、ボクもびっくりだよ」



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