ああ…どうしよう、やってしまった。生徒会室の床には、割れた陶器と水と花がばらまかれていて、書類やらなんやらがびしょびしょに濡れていた。やばい。椿が来たらコテンパンに…


『おはようございま…!』


鞄からハンカチを取りだし、いざ拭くぞ!と思った時にあいつが来た。おはよう、と爽やかな笑顔で答えようとしたら、あたしより先に椿が口を開いた。


『な、なにやってるんだ!』
「えっと、床の掃除を…」
『あーもう!』
「ごめんなさい…」


椿はあたしからハンカチを引ったくると、床を乱暴に拭きはじめた。うーん、じゃああたしは書類でも乾かそうかな、なんて言ったら、あっちに行ってろと言われてしまった。うっわ、傷ついた。なんだよもう!人間だって失敗の1つくらいするさ!だって人間だもn((


『邪魔だ、どけ』


ぷっちーん、もう、キレた。もとをたどればあたしが悪いのかもしれないけど、あたしだってちゃんと謝ったし。バコン!とそばにあった鞄で椿の頭を殴ってから生徒会室を飛び出した。死ね!椿死ね!


『な!おい!待て!』


後ろから椿が追いかけてくる。ちょ、なんで追いかけてくんの!?書類は!?ちょこまかと足を動かしても、50メートル10秒だいの足は鷹がしれてる。あっという間に追いつかれて、腕をつかまれてしまった。


「……なに」


ぶっきらぼうにそう答えると、今度は椿のげんこつが飛んできた。いって!今一瞬お星さまが見えたよ!


『すまなかった』
「…は?」
『イラついてしまって、すまなかった!』


何度言わせるんだ、と小さく毒づいて椿はあたしの腕をはなした。強くつかまれていたところは、赤くなっていたけど、きっと、今のあたしのほっぺたのほうが赤いんだろうなあ。



101026



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