ピタ 両者の手はそこで止まり、辺りには不穏な空気が流れる。両者はにらみ合い、けしてその手を動かそうとしない。両者の手は、1つの物を狙っていた。その先にあるものは…


「唐揚げは渡さない!」


女の手が動く。だがそれを男がしなやかな身のこなしで防いだ。


『なに言ってるノ?唐揚げはオレの物だヨ』


男は片手で女の両手をつかんだまま片方の手で皿を狙う。だが女は諦めなかった。女は右足を高くあげ、皿を数メートル遠くへ蹴り飛ばした。唐揚げは宙を舞い、きれいに掃除されたフローリングの床へぽとりと落ちた。


「あああああ!わたしの唐揚げがああ!」




「…っていう夢を見たよ」
『1回黙ろうカ』




100908