透き通るくらいの青い空に、ふわりふわりと風船が飛んでいって、遠くの彼方へ消えた。あたしは涙がこぼれないように、上をむいた。……フラれるなんて、思ってもみなかった。長年付き合っていた彼氏に、たった今、『別れよう』と言われた。あぁダメだ。乾いた頬に涙がつたって、コンクリートを濡らした。


ガラリ。扉の開く音がして、涙も拭かないまま扉のほうを見た。


「エリオット……」
「馬鹿野郎が」


ズカズカと近づいて来たと思えば、あたしをぎゅっと抱きしめた。


「泣きたいなら泣けばいい」


その言葉を聞いただけで、こらえていた涙がどっと溢れてきて、泣いた。泣いて泣いて泣いた。涙も声も枯れたと思うくらいに。


「…おさまったか?」
「……うん、ありがとう」


そうか、と言ってエリオットはあたしの頭を軽くなでた。


「なんで?」
「は?」
「なんであたしがフラれたこと知ってたの?」


無論、エリオットにこんなこと言った覚えもないし、他の誰かに言った覚えもない。エリオットはフッと笑ってまたあたしの頭をなでた。


「なまえのことが好きだからに決まってるだろ?」


ああ、もうほんと、



100903 そらさんのフリーリクエストでした!ものすごい、いや、ハイパーすごく遅くなってしまってすみまそん(´・ω・`)