「はぁー」


白い息がふわりと浮いて消えた。あーあ、雪でも降らないかな、とか思いながら乾いた唇にお気に入りのリップクリームをぬり直した。もう一度息を吐くといちごの香りがして、あたしはにんまりと口角をあげた。いいなーいちご。かわいいなー。


「名字おはよう」
「あ、おはよう椿」



椿は寒そうに手をこすりながらあたしの横に来て一緒に並んで歩いた。あたしの口角はさらににんまり上がってにんまり口を隠すためにマフラーを巻きなおした。


「寒いな」
「うん、寒いね」



フフフと笑った声は白い息に変わって空に消えた。そしたらまたふわりといちごの香りがしてあたしはまた嬉しくなる。


「ん?いちご?」
「いちご?」
「いや、いちごの香りがしたような…」



あたしの口角はもう上がらないところまできて、正直今の自分は気持ち悪いと思う。


「いちごのリップクリームつけてるんだよ、あたし」


椿のほうを向いてはぁーと息を吹きかけると頭を叩かれた。あ、昨日徹夜して覚えた英単語忘れてもーたやないか!


「かわいいでしょ」


バコンとさっきより強く叩いた椿の耳はいちごみたいに真っ赤だからおもしろくなってまた息を吹きかけたら今度はスクバで殴られた。あ、今度は漢字忘れてもーた!


***
THE・季節はずれ/^^\



100901



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