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「杏里ちゃあん!」

金曜日、放課後の、校門。声を張り上げて、わたしは細い背中にかけよる。肩に掛けた鞄は軽い。振り返った杏里ちゃんは小さな声でわたしの名前を呟き、そっとほほえんだ。白い頬、さくら色の唇のかたちはやさしい。

「ごめんね、待った?」
「いえ、あの、私も今来たところですから」

待った?ううん、今来たところ。まるでデートみたいな会話だなあ、思ったわたしは思わず頬がゆるむ。杏里ちゃんもそう思ったのか、ちょっとだけ気恥ずかしそうに視線を足元へ落とした。ああ、なんてかわいいの杏里ちゃん!わたしはその細い手を掴む。手を繋ぐかたちだ。びっくりしたような顔で杏里ちゃんがわたしを見たけど、それはちょっと無視させていただくことにした。

「いこっか」
「、はい」
「うふふ杏里ちゃんとデート!これは紀田くんに自慢せざるをえないね!」

杏里ちゃんはぱちぱちと何度か大きな目を星のようにまたたかせ、少しの沈黙のあと、ふふ、わずかに笑い声を漏らし、デートですね、とさくら色の唇をかわいらしく持ち上げた。なにそれ!きゅんきゅんするじゃない!




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