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心臓の、音がする。
なまえはそう言ってとってつけたようにくすくすと笑い、臨也の背中に耳を押し付けたまま、再びとってつけたように呟く。

「静雄くんの背中からもね、心臓の音はするんだよ」

ふたりとも人間じゃないみたいなのにね、なまえは臨也の背中から体を離して、不思議だねえと首を傾げた。臨也がそれに答えることはなく、臨也はただなまえを振り返って、腕を伸ばす。それはなまえの首に蛇のように巻き付いて、そのままぎゅうとなまえを抱きしめた。まるで恋人同士のような行為に、なまえはぱちぱちと何度か瞼を開閉し、どうしたの、と臨也の背中に手を乗せた。

「俺といるときにシズちゃんの話は禁止」
「わあ臨也くん、なんか今日は素直」
「たまにはわかりやすく妬いたりもするよ」

そうか、そうなのかあとなまえは確かめるように何度か頷いて、笑ってみせる。わかったよ、臨也くん。臨也は本当にわかっているのやらと疑いたくなったが、まあなまえは確かに頷いたのでよしとした。

「いつもそうならかわいいのにね」

なまえは嬉しそうに微笑んで、臨也の髪をくしゃりと撫でる。臨也はなんとなくそれが気に入らなくて、ぐいとなまえの頬を両手で包む。そのまま、なかば無理矢理に奪った唇に、なまえがくすぐったそうに身をよじる。だから、結局今日も臨也は幾度も幾度も口付けを繰り返すのである。

海跡湖







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