毎日好きになる
「ん、イッちゃったねぇ、奈子ちゃん。可愛い……」
ちゅ、ちゅ、と短いキスを繰り返しながら、ベッドに押し倒される。一旦中から抜けた博也くんは、私を俯せにした。
「この体位も奥まで入ると思うよ」
腰を浮かせて、また博也くんが入ってくる。ぎゅうっとシーツを握る。博也くんの言う通り、いつも触らない、一番奥まで。
「あっ、あっ、ああ、うぅ……」
「ねぇ、奈子ちゃん。いつもの恋人同士の甘々イチャラブセックスもいいけどさ、たまには動物みたいな激しいセックスもいいね……」
ぱちゅん、ぱちゅん、と肉と肉がぶつかる音。私の口からはもうあ、とかう、とか短い言葉しか出てこない。
「はあ、奈子ちゃん、俺ももうイキそう……」
体を倒して、私の首筋や背中にキスをする。その間も腰は止まらない。擦られて、苦しいほどに気持ち良くて。
「っ、イく……っ」
一番奥に腰を押し付けて、博也くん自身が震える。その刺激すら今の私には快感に繋がって。脚をピクピクさせて、またイッた。
***
「奈子ちゃん、今日仕事大変だったの?」
「え?なんで?」
「顔色悪かったし、なんかイライラしてた。尚の店で」
「それはあの人にムカついて……」
「その前からだよ」
隣に寝転んで腕枕をしてくれている博也くんにそう言われて記憶を辿る。んー……あ、そういえば。
「今日ミスっちゃったんだった……」
芦屋くんのお店での出来事が衝撃的すぎて忘れていた。
「そうなんだ」
「うん、めちゃくちゃ怒られたんだよね」
私が悪いんだけどね。ちょっとコーヒーをこぼしかけて変なボタン押しちゃったの。
「しっかりしてる奈子ちゃんでもそんなことあるんだねぇ」
博也くんがほっぺたにスリスリしてくる。うーん、ちょっと生えた髭がちくちくして痛い。
「もう大分奈子ちゃんのこと知ってきたなぁ。やっぱりどの瞬間の奈子ちゃんも可愛い〜」
「そんなことないよ……」
「いいのいいの。俺が勝手に奈子ちゃん可愛いなぁって思って毎日毎日好きになってるだけだから」
うーん、そんなことあるのかなぁ。自分ではよく分からない。私も博也くんのことどんどん好きになってるからそれと同じかなぁ。
「嫌だなぁって思ってることないの?」
「うーん、もうちょっとスマホ確認してほしいとは思うかな」
それはごめんなさい……。
「でも、そういうマイペースなところも含めて大好きなんだよ」
ちゅ、ちゅ、とほっぺたに何度もキスをされながら目を閉じる。もうクタクタ……。
「おやすみ、奈子ちゃん。明日朝起こしてあげるからね」
博也くんの優しい声を聞いた次の瞬間には、もう眠りについていた。