凶器、いや、狂気
「あっ、やぁ、みかみ……」
「舞子……」
素肌で触れ合うと気持ちいいことを教えてくれたのは三上だ。それだけじゃない。想われることの幸せも、人を好きになるドキドキも。全部全部、三上が教えてくれた。
全部脱いで、お互いに全部晒して。三上の舌が肌を滑る。そこが熱くて堪らなくて、私は頭がおかしくならないように必死でシーツを握った。
「お尻上げて」
「やっ、はずかし……」
「大丈夫だから。ね、舞子」
三上に促されて、俯せのままお尻だけ高く上げる。きっと三上には全部丸見えだ。恥ずかしくて泣きそうになる。
「濡れてる」
「濡れないよっ」
「音聞こえない？」
「んんっ、やぁ……」
くちゅり、と三上がそこに触れるといやらしい音がする。三上はそこをつーっとなぞって、一番気持ちいい突起を押した。
「んんんっ、あっ、やぁん」
身体が跳ねる。くりくりと押し潰されて、脚がピクピクと痙攣した。そして、指ではない熱いものがそこを舐めた。
「ひっ、ああっ、みかみぃ」
全体を舐められて、そして突起を集中的にいじめる。汚いのに。恥ずかしいのに。気持ちよくて堪らない。ぐちゃぐちゃになったシーツに汗が染み込んだ。
「ふっ、あっ、あっ、」
「気持ちいいって、言って。そしたらもっと気持ちよくなれる」
そんなの恥ずかしい。気持ちいい。気持ちいいけど……っ
「舞子」
「っ、きもち、いい」
「うん」
「っ、きもちいい、きもちいいよぉ」
箍が外れたみたいに身体が跳ねる。気持ちいいと口に出すと恥ずかしさがなくなって、快楽を全部受け入れる。もっと、もっと。気持ちよくなりたくて。
「あっ、はぁ、いく、」
身体中に力が入る。三上が舌先で突起を押し潰した瞬間。
「あっ、ああっ、ああああっ」
頭の中が真っ白になった。快楽の波が押し寄せてくる。ぴく、ぴく、と身体は痙攣する。脚に力が入らなくなって、私はその場に崩れ落ちた。
「舞子」
「ひっ、ん」
今度は仰向けにされて、そこに指が入ってくる。三上は私の隣に寝転んで頬に何度もキスを落とす。
「イッた、ばかりなのに」
「ん、すごい締まる」
「みかみのいじわる……」
「あんまり可愛いともっと意地悪したくなるんだけど」
珍しい、三上の意地悪な顔。三上は私に強引なキスをしながら、指を奥まで進めてきた。長い指が気持ちいいところを擦る。甘い嬌声は全部三上に呑み込まれた。
「んっ、んっ、んんっ」
「またイッた」
三上は満足気に笑うと身体を起こす。そしてどこからか取り出した避妊具を付けた。い、いつも思うんだけど三上の見るとちょっと怖いんだよね。いつもってまだ２回目だけど！
「び、ビッグスティック？」
「は？笑かすな、力抜ける」
「み、三上のは普通サイズなの？世の中のメンズはみんなそんな凶器股にぶら下げてるの？」
「凶器て。他の人のそんなマジマジ見たことないから知らないけど」
「それを女の子にぶっ刺すなんて凶器だよ。いや、狂気だよ」
「分かったからそろそろ黙ろうか」
三上がのしかかってくる。そして股にピッタリとくっつく熱いもの。
「ひっ」
顔が引き攣る。ぐぐっと入ってくる。圧迫感に息が苦しくなる。三上の腕をぎゅっと握った。
「んんんっ」
「痛い？」
首を横に振る。凶器だ。でも、その凶器に感じてしまう。苦しい、のに。
三上は気遣うようにゆっくりと出し入れした。三上の大きいので何度も擦られる度、快感が増していく。
「気持ちいい？」
「き、もち、い、」
「……俺も」
はぁ、と熱い息を吐いて三上が言う。その色っぽさに、完全に箍が外れた。
「あっ、ああっ、」
「舞子……」
気遣うような動きが激しいものへと変わる。肌がぶつかり合う音が響く。私は甘い嬌声を上げることしかできなくて。
「っ、イく、」
「みかみ、みかみぃ……」
「……っ」
中で三上のそれが震えた。あ、は……と三上の口からセクシーな声が漏れる。
「いっぱいエッチしようね」
「うん、するけど。急にどうした？」
後始末を終えた三上が隣に寝転ぶ。裸のままぎゅっと抱き締められた。
「もう冷たくしないでね？」
「うん、しないよ」
「ずっと一緒にいようね？」
「舞子」
「何？」
「結婚しよ」
ようやく、互いの心と体がそこに追い付いた。