今私は遊園地にいます。なんでかというと、沖田くんに「今度の休日ひま?もちろん暇だよね。ちょっと付き合ってよ」と半ば強制的に遊びに付き合わされるはめになった。
『沖田くん遅い…』
自分から遊びに誘っておいて更に遅刻したらお仕置きだからねって言ってたくせに本人が遅刻してるって何なんでしょうか。遊園地の前で待ちぼうけを食らっている可哀想な私は変な目で見られるし、最悪。
「立花ちゃん。」
するとそこへやっと沖田くんが来てくれまし…。おっといけない初めて私服の沖田くんを見たけどやっぱり顔がいいからただのイケメンだった。ほんとに。制服姿もかっこいいけど、私服はいつもと違った魅力が詰まってます沖田くん!
「なに、僕のかっこよさに見惚れてたの?」
『ち、違います!』
「まあいいや。待たせてごめんね。さ、いこっか」
そう言ってさらっと私の手を握り遊園地へと脚を運ぶ。沖田くんにとって私は遊びだし!と言い聞かせながら高鳴る気持ちを抑えながらも彼について行くのだった。
ーーーーーーーーー。
『ぐええええ』
「ちょっと!吐きそうにならないでよ!」
『沖田くんちょっともう無理…休憩したい』
「だらしないなあまったく」
遊園地に入ってはや何時間。永遠に乗り物に乗り続ける沖田くん(全部絶叫マシン)引っ張り回され私だけど、流石にもう限界が来た。なにより私は絶叫マシンがあまり好きではない。ほら、遊園地っていってもメリーゴーランドとかゴーカートとかそうゆうのもあるじゃない?そっちのが好きなのに絶叫マシンにばっかり乗せられて気持ち悪くなった。
『ふあああー。』
近くにあったベンチに腰をかけると、沖田くんはどこかに行ってしまったのかそばにいなくて、少し寂しさを感じてしまった。
『だめだな私。もっと一緒にいたいとか思っちゃダメなのに。』
沖田くんにとって、私ってなんだろう。面白い子?都合のいい子?だから一緒にいてくれているの?きっと私に飽きたらもう話してもくれないだろう。いつの間にかこんなにも沖田くんのこと好きになってて、沖田くんの隣にいたいって思ってしまってて、あぁもうぐちゃぐちゃだ。
「ねえ、君一人?なら俺たちと遊ばない?」
『へ?』
色々と考え事をしているとふいに声をかけられる。ふとその人を見上げてみるといかにもチャラそうな男の人で、ニタニタと私を見て笑っていた。
「なんか泣きそうな顔してたけど?なに彼氏と別れたの?俺がいやしてあげる」
『そんなんじゃないんで!ちょっと触らないでください!』
人の断りもなく勝手に私の腕を掴み引っ張ってきた男に恐怖心を抱く。思ったよりも力が強くてふりほどけない…!
「ちょっと。なにしてるの?その汚い手を離しなよ」
「あ?」
『沖田くん!!』
するとそこへ物凄い不機嫌な顔をした沖田くんが登場した。私の腕を掴んでいた男の腕をギリギリと力強くつかんでいる。男は次第に顔が青くなり、逃げて行った。
『沖田くん…ありがとう』
沖田くんが助けてくれたことに安堵して。私はへたりとまたベンチに座る。
「まったく立花ちゃんってほんと手がかかるんだから」
『ごめんなさい…』
うつむいた私にピタっと冷たいものが当たる。
「僕が連れ回したせいで、気分悪そうだったからね。飲み物買ってきたんだけど、裏目にでて怖い思いさせちゃってごめんね。」
沖田くんは、私のために冷たい飲み物を買って来てくれたんだ。沖田くんの気遣い一つで私の心は晴れて、満たされていく。私、本当に沖田くんが好き。これからもずっと一緒にいたい。そう思うのはいけないことですか?
「なに泣きそうな顔してるの?ほら飲みなよ」
『っ!沖田くんありがとう!』
私の中で確信に変わったこの気持ちをきちんと彼に伝えよう。そう思った。
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