刹那には、アレルヤがこの前の、といってももうそれほど最近のことではない、そのときの彼自身のことばをいまだに気にしているのが目にみえて分かっていた。見た目もあって、第一印象はきついタイプの人間であったがそれはむしろティエリアの方で、アレルヤは大人しくひどく繊細であった。
すれ違いざまに、あ、と小さな声を出しアレルヤが肩に触れたことがある。そのあと彼が次のことばを発する前に、刹那は彼の手を強く振り払った。一瞬、アレルヤのした傷ついた顔が忘れられない。慌てて謝って、用件を伝えた彼の背中も見ずにその場を離れたというのに、刹那はその顔を思い出してしまう。


彼はまだ子供ですよ

展望室にアレルヤの姿があった。
隠さない足音に振り返るアレルヤは、ほんの少しの躊躇と、ぎこちない笑顔を後付けした。
「刹那、」
アレルヤに興味は無いと思っていたが、アレルヤの垢抜けない表情はここでは痛烈すぎるものだった。床に座り込むアレルヤを通り過ぎ、刹那は宇宙を眺めるふりをする。
沈黙はしばらく続き、刹那はアレルヤが背後にある気配を感じていた。
「僕も、君と同じくらいの年のときにきたんだ。」
唐突に話しはじめたアレルヤの顔を横目でみる。直視はできなかった。
「他に行くところもなかったしね。」

「…だから、すまない、」
今更かなと付け足したアレルヤの頬骨あたりが淡く色づき、刹那は小さく首を振った。
「気にしていない。」
もちいる全ての感情を押し隠した無表情が、刹那の困惑をアレルヤに見せた。刹那は今14歳で、アレルヤだってまだ17である。認めがたい陰鬱な過去を無理やり殺めたふりをして成長してきた。終わったはずのできごとはいままでだってずっと血をめぐらせていて、かれらのパーツを食いちぎって生きてきている。
いつか終止符を打とうとせねばならないことよりも、同類であるのに、あるがゆえに、すこしもまじりあえないことが互いに悲しいと思えた。



10月6日 ガンダム00第一話放送記念

24話と、ちょっと11話を補完?

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