ハレルヤの体はもうだいぶ腐敗が進んでいて、手足の末端はすでに地と同化していた。アレルヤの姿を目にとめ、目だけが細められる。アレルヤがその胴に跨ると、それだけでもろもろと崩れてしまいそうである。
アレルヤはしばらくハレルヤに馬乗りになって、彼の頬を撫でていた。泣きそうな顔をしていた。
「アレルヤ、」
ほとんど空気のようなかすれた声が、アレルヤを急かした。苦しそうに歯を食いしばったアレルヤが、大きく喉を上下させる。そしてゆっくり、両手で包み込んだハレルヤの顔を覗き込み唇を舐めた。

行為は、どんな綺麗な女とするセックスよりもよっぽど甘美だとふたりは知っている。
アレルヤが、抱きすくめたハレルヤのわき腹を撫で腰骨をさする。ハレルヤの舌はろくに動かないが、ただふたりのものがもつれているだけで死ぬほど気持ちが良かった。
ハレルヤは吸い尽くされる痛みまでも喜びであったが、アレルヤは奪い取ることが苦痛だった。けれど行為を終わらせるものがいないのは、なんにせよそれは快感であったからである。
いつもアレルヤは涙を堪えるのが辛くなるのだが、一度はじめてしまえばハレルヤの小さく吐かれる甘いため息に夢中でむしゃぶりついてしまう。
ハレルヤはそんなアレルヤを可愛いと思っていた。
アレルヤは必ずハレルヤに会いに来る。
ハレルヤは死にそうな顔をしたアレルヤに与える。
あたりは一面静かな森で、アレルヤに生を感じさせるのはハレルヤだけで、まさしくハレルヤはアレルヤの生命力であった。



ざわざわとした街のノイズを挟んで、甲高い声がぼんやりと耳に伝えられる。
彼女には美しいと定義付けるための要素がいくつもあった。細く柔らかそうな体を寄せ、ほんのりと頬を赤らめて丸い瞳をまばたきさせる。どんな器量良しの行動にも、アレルヤは優しそうに微笑む。
誰も憎いとは思わなかったが誰も愛せない。ハレルヤ以上の愛などだれにもらえばいいものか。





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