愛が私を飼い馴らす















なんでってそんなこときまって、は、いないか、特には。男は曖昧に柔和に微笑んでいたけど結局乗り気で(もともとだけれども)嬉しそうな顔をして少し目の下にある青年に祝福の言葉を送っている。
冷たいテーブルに顎をくっつけ見つめた腰あたり。鮮やかな制服の上着の下から惚れ惚れするような引き締まった下半身がのぞいていて、見飽きないのでじっと見続けた。「ロックオンもこちらに来てくださいよ。」
そういったアレルヤは空気を読まない天然な面を見せたのではないと、笑わないオッドアイがそういった。
先ほど簡単に済ました青年への言葉を再びかけ、(アレルヤの時とはちがいぎこちない笑みさえこぼれはしなかったが)談笑を交わし、取り巻きの中にそれとなくおさまった。
ときどきぶつかるアレルヤの視線に一瞬ティエリアの赤い目が追うようにみえて、ひやりとした。そのあとはただただやはり、赤らんだ風な男をみていた。



「嫉妬してるの?」
アレルヤは愉快そうに顔を覗き込んでくる。誕生日の青年はこの狭いベッドに入り込むことはできないと思うと優越感を簡単に獲られ同時に存分に自分の馬鹿さ加減を知ることができる。
柔らかい笑みとはほど遠くてそれがすこしねたましいのだけれど、けれどこんな男の顔を知っているのは多分、自分、だけ。
うれしいので馬鹿なのでぎゅうと抱きしめた。

抱き込んだ体がすこし震えてアレルヤが笑ったのが伝わる。つられる。子どもみたいだ。
どうしたのとたずねるアレルヤの声が子どもをあやすような口調で、あたまをゆるく撫でてくる指がここちよくて、鼻腔をくすぐるアレルヤのにおいに、
ああもう今日はきっと自分の誕生日なんじゃあないか、
錯覚におぼれてる。

底のほうにはしなやかな彼と彼のにおいがあるのだ。















title by jane

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