補給班長の業務日誌 | ナノ

補給班長の業務日誌

In the longest day in history! 02
「なんで補給班が私一人になってるんですか」
「てめえの上司が全員、揃いも揃って物資と金をくすねてたからだろうがぁ!」

私の抗議にスクアーロ作戦隊長はにべもない。確かに作戦隊長のおっしゃる通り、私の上司は物資を扱う職務上の権利を濫用して、本来支部に分配するべき物資や多目に注文したものを自分のものにしていた。ひどいやつだと、本部のお金をくすねていたり。
新入りの私はこの事が分かったとき、まずどこにでもこういうやつがいることに呆れ、次にこれがボスにバレて共犯扱いされて上司もろとも消されるより、密告して私は悪いことはしていないと弁明する方が安全なのではないかと思った。特に思い入れも恩もない上司だったので計画を速やかに実行、つまりボスに密告した。



上司が横領していた証拠を見たときのボスが、心底嬉しそうに笑ったのは一生忘れない。状況が違えばかなり貴重なショットだ。速やかに笑顔を凶暴なものに変えて彼はこう言ったのだ。

「沢田綱吉がかねてからヴァリアーの人員定数の削減を訴えていたからな。こいつらは全員クビだ」

ボスのおっしゃる沢田綱吉、すなわちボンゴレ10代目。超がつくレベルの穏健派の彼がボスとなってからというものの、バリバリ暗殺をこなすヴァリアーのような組織は風当たりが少し強くなっていた。ボスがおっしゃったように人員を削るように言われたり、予算を減らされたり……。そのあおりで基本給が削られたのが上司たちの横領の理由だったりする。
とにもかくにもボスは、横領を理由にして、戦力を削ることなく頭数だけを減らすことに成功した。
だが、私は彼の言葉を聞いて非常に嫌な予感を覚えた。この組織が軍隊であれば補給の一部をアウトソーシング、すなわち外部に委託することができるのだが、ここは暗殺部隊だ。お天道様の下を堂々と歩けない身の上の我々にそんな真似ができるわけはなく、かといって人員が増やされることもなく、冷や汗をかきながら今や自分一人となった補給班室に戻った。そしてデスクに山積みとなった書類を見て、作戦隊長のところに直談判しに来たのだった。



回想を頭から振り払って私は口を開いた。

「せめてそちらで余ってる人材を一人くらいこっちにください。私一人ではヴァリアーの物資をさばききれません。このままでは私が12時間フルに働いても一部の支部に物資が行き渡らない状況になるでしょう」
「あー、そりゃまずいなぁ。分かった。うちの隊から一人回してやる」

少し大袈裟に言ったが(12時間死ぬ気で頑張れば一人でも多分回せる、が体がもたない)、そのお陰で仕事を手伝ってくれる人が増えた。
わかったらさっさと仕事にかかれぇ、人は今日中にやる、と作戦隊長は犬を追い払うように手を降った。私は目的を達成できたので足取り軽く隊長室を辞した。

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