甘えん坊天邪鬼

「はい!これから短いあいだですがよろしくお願いしますね!!」


「あぁ・・・あいつにはもう言ってあるのか?」

「いえ、まだ・・・あの子きっとびっくりしますね!」

聞きなれた声にキョロキョロと見回してみれば、部長。

「部長・・・と。あれは・・・・。」

隣にいる女性は、俺の姉だった。

十数年前、俺には兄がいた。もちろんリョーガだ。

俺が5、6歳になったとき彼はニューヨーク郊外にあった家を出て行った。

それと入れ違いに、今度は

「名前だ。お前の姉ちゃんだぞ。」

「りょーがは・・・?」

「あいつ、なんか夢があるんだと。でっけえ夢。でていっちまった。」

「名前おねいちゃ・・・。」

「・・・リョーマくん、だね。よろしくね。」

姉ができた。

俺と2歳しか違わなかった姉、名前。

あまりにも唐突な兄への別れと、同じく唐突な姉との出会いに混乱していた俺は。

「嫌だ!」

最初、姉を嫌った。

八つ当たりもした。話しかけられても答えなかった。

それでも彼女は事あるごとに
『リョーマくん!』
俺を呼んだ。

いつでも、どこでも、俺を呼んで、笑っていた。

「リョーマくん!テニスしよう!」

「リョーマくんこれ、みかん?」

「リョーマくんご飯だよ!」

最初に好きになったのは彼女の笑顔だった気がする。

もちろん異性としてではない。姉として、だ。

「名前・・・。」

初めて彼女の名前を呼んでから数年。もう一度、何年かぶりに名前を呼んだ。彼女は

「なぁに?リョーマくん。」

いつもどおり、笑った。

それからは一気にタガが外れた。

「ほあら〜・・・」
「あ、カルピンどうしたの〜?」
「名前俺も〜・・・ほあらー。」
「ありゃりゃ、リョーマくんも〜・・・二人?二匹?してどうしたのかなー?」
「好きー。」
「知ってるー。」
姉として、ね。
この人にだったら甘えられる。カルピン邪魔どいて。
猫に嫉妬するとか俺自身終わってる気すらするけど仕方ない。

「リョーマも名前ちゃんには甘えるのねー・・・。」
いつだったか母さんが聞いたとき、二人口を揃えてこう言った。
「「だって姉ですから。」」

学校もそう。一緒に青学に行けることになってどれだけ嬉しかったか。

弁当も一緒に食べる。けれど、同級生の前ではさすがに甘えることなんかできないから。

「姉ちゃん」呼びで我慢している。この人は俺の姉なんだ。俺が一番近いんだ。

「姉ちゃん。」

気配を殺して歩いて行って、ギュッと抱きつく。

「お、リョーマくん来たねー。ちょうどいいやー。」

びっくりしないのか・・・残念。

「越前。」
「あ、部長。」
この会話のあいだももちろん名前を離したりしない。
「お前の姉が俺たちの部のマネージャーをしてくれるそうだ。」
「へー。」
「あれ、リョーマくんびっくりしないのー?」
「・・・嬉しくないんだよ。」
「えー!?なんでさー!?」

だって、マネージャーなんかになったら。

「姉ちゃんが俺にかまってくれなくなるー・・・。」
「・・・ブハッ!」

正直な気持ちを言ったのに笑われるとなんかムカつく。
未だにハハハと笑う名前。
「笑うとこじゃない。」
「あー、笑った笑った!で、構わなくなるって?私、今もリョーマくんは構い倒してるけど?」

確かに見てみれば俺を邪険に扱うこともなく。
というか俺がお腹の方に回した手、その上には名前の手が重なってる。

「これでまだ寂しいとー?仕方ないか、リョーマくん甘えん坊さんだもんねー。」
「・・・・っ。」

反論できない。


ああ、全く。

「お姉さまには、敵わない事で」


甘えん坊天邪鬼
君が甘えるのは、私の前だけでいいんだよ。



******************************

はい、真夜中に更新した幸医師です。
瑠唯様にリョーマの姉って事でリクエストをもらいました!
でも血繋がってなくね?いいのかしら。
血繋がってるverも書くか、と意気込んだ所で寝オチ&保存し忘れという地獄を見た。
てなわけで、666hitキリ番報告ありがとうございました!
ささやかなお礼ですん(ノ´∀`*)
いつも通り瑠唯様のみお持ち帰り&調理オッケーなので!

===============
**感謝**

あ、ありがとうございますぅぅぅううう!
りょ、リョーマくん可愛すぎてキュン死にでしたよ、どうしましょう!
繋がっていなくてもいいです!ていうか、もう愛されてれば何でm((
いやいや、お礼だなんて!
そんなたいそうなことしてないですよ(*^^*)
でも、遠慮なくいただいちゃいました☆
ちゃっかりしっかりすみません(= '艸')
寝落ち、保存し忘れは恐怖ですね………!!!
私も良くやります←ぇ
幸様も、いつでもリクエストなさって下さいね。
それでは、ありがとうございました!

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