恋のルールは君主導

「次、2軍以下パス練、1軍は3 on 3。」
「「「はいっ!!!」」」

すー、はーと深く深呼吸をして呼吸を整える。ハードな練習でよく今までついてこれたなと、自分でも不思議に思います。人並みそれ以下かもしれない僕の体力では、休憩なしのこのハードな練習では体が持ちません。

「テツヤ。お前は少し休憩しろ。」
「っや…だい、じょ……ぶで、す…」
「いや、休んだ方がいい。」
「わ、わか、り…ま、した……」

それでもこうやって、僕を気にかけて休憩を挟んでくれる赤司くんにはとても感謝しています。元々下の方でウロウロ彷徨っていた僕を見つけてくれたのは赤司くんでした。それくらいから、僕の気持ちは赤司くんに向き始めてました。

「それと、水分補給はしっかりな?」
「は、い。」

そんなこんなでハードな部活も終わって、ただいまの時刻は7時ちょっとすぎ。今日は1軍のみんなで楽しく下校しました。ついさっきまでは。こういう時家が遠いとさみしい思いをしますよね。残される側の立場はツライです。と、前の僕なら思っていたでしょう。

「お前のミスディレクションもだいぶ様になってきたな。」
「そうですか?自分で見たことはないので分かりませんが。」
「ああ、とてもいい感じだ。」

僕の見つけた蕾は順調に開花しているな、そういって僕の方を向く赤司くん。そうですね、頑張っていますよ。というのは流石に言えなかった。人より休憩をたくさんしているのに図々しく、頑張ってますよなんて言えるわけないじゃないですか。頑張ってますが。

「赤司くん。赤司くんは………なぜ僕を見つけ出してくれたんですか?」
「見つけ出す?何を言っているんだ、見出しただけだよ。見つけ出してはいない。」
「何が違うんですか?」
「テツヤの力を見出したのは確かにこの僕だ。しかし、テツヤは最初から僕の目にちゃんと映っていたよ。見つけ出したということではない。」
「映っていた………んですか?」

ああ、映っていた。満足そうに答える赤司くんに、僕はやっぱりドキッとする。ドヤ顔でも、微笑んだ顔でも、あえての無表情であったとしてもどれもかっこよく僕の目には映ってしまいます。届けられないのに、それでも抑えられない感情を抱いてしまった僕は本当に面倒です。届けられる立場であるなら、少しは楽になれたかもしれない。なんていうのはどうしようもないのだからしょうがない。

「その様子では、何も伝わっていないようだな。」
「え?」
「テツヤは本当に鈍感だ。少しは察してくれてもいいのにな。」
「何を、ですか……?」
「僕の気持ちを、だよ。ねえテツヤ。テツヤは僕のことを好きだろう?」

何サラッと爆弾発言しちゃってるんですか。そしてなぜバレバレなんですか。そんなに分かり易かったですか、僕。ああでも、バレてしまっているならもうバスケ部にはいられないじゃないですか。

「安心しろ。別に気持ち悪がったりバスケ部から辞めろなんて言わないよ。」
「じゃあ、なんなんですか……?」
「困ったな。ここまで鈍感だとは思っていなかった。まだ分からないのか?」
「はい………なにがなんだかサッパリ。」
「そう…要するに、僕もテツヤのことが好きだ。これだけだ。」
「は………?」

なんだ、ずいぶん面白い顔をするんだな。フッと笑った赤司くんにドキッとしながらも、今の言葉はまだ理解できていない。そもそも、面白い顔になったのは赤司くんの所為だと思いますけど。

「当然、テツヤも僕が好きだろう?だったら何も問題はあるまい。これからよろしく頼むよ。」
「え?あ、っと……はい。」
「うん、それでいい。」

てことは、両思い、彼かのというやつですか?………何だか急に嬉しくて恥ずかしくなってきました。顔真っ赤だぞ?と赤司くんが言ってますが、はっきり言って赤司くんの所為ですからね。もう、これ以上僕の心臓を破壊しないでください。

恋のルールは君主導
(それじゃあ、僕が彼氏でいいだろう?)(…は、い………)
(なら僕が上のポジションでテツヤは下ということになるな。)(すみません何の話ですか。)
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提出先:蜂蜜檸檬
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