君以外の誰が僕のこの目に映るだろう

こんなにも見ているのに、それでも君は気づかない。僕の間を通り抜けてしまうんだ。


「おはよう。」
「赤司くん!おはよー」

さっきまで煩いくらいに耳についていた雑音は、彼女の笑顔と一言で気にならなくなった。つまりは彼女が最強というわけだ。僕の中では、の話だが。

「赤司くんさ、宿題やった???」

ああ、もちろんだよと言えば流石赤司くん!と言ってくる。これもいつものパターンだ。彼女は大抵宿題というものを放置して遊ぶ。そして次の日の朝、必ずと言っていいほど僕に宿題見せてオーラを放ってくる。全く、困った人だよ。

「またか。そろそろ自分でやろうとは思わないのか?」
「全く!さ、見せて!!!」

ここで見せてしまう俺も大概彼女には甘いらしい。それにしても、ここまで何も勉強しないでただ授業受けるだけなのに、僕と緑間とトップ3を争う頭の持ち主なのだから侮れない。そんな彼女に惚れてしまった僕はすでに重症なのである。

「しかし、授業受けるだけで勉強できるだなんて、君は天才なんだな。」
「天才?あっは!違う違う!凡人だよー!」
「凡人は家でも勉強をする。」
「だーかーらー、コツがあるんだって!」
「コツ?」
「うん!」

コツとやらをつらつらと述べる彼女の姿は研究者か何かかと思えるほどキリッとしていて美しかった。彼女がいうには、ノートは理解したことを取る、黒板を移さないこと、話は極力理解しながら聞く、らしい。最初はそんなんで本当に頭がよくなるのか、そう思ったがこの方法はどうやら間違いじゃないらしい。








「あーー!!また負けたあああ!赤司くん流石。」
「ふっ、当たり前だろう?」
「うわ、ドヤ顔ムカつくからやめて!」

彼女にあの方法を教えてもらってから早1年半。見事に2年でもクラスが一緒になり、彼女を目で追う日々は変わらなかった。変わったことといえばそう、僕も授業だけでもテストで上位をキープできるようになったということ。まあ、宿題をやらないなんてことは僕にはあり得ないから、必然的に1位は僕になる。そう、それくらいしか変わっていない。僕たちの関係も何も、変わってないんだ。前にも後ろにも進めてない、立ち止まったままなんだ。

「次は私が一番になるからなー!」
「宿題やってこない君には無理じゃないか?」
「うわ、ムッカ!みてろよー!」

ふざけて大げさに反応する彼女を愛おしく思う。見てろよなんて、言われなくてもいつの間にか見てしまっているんだ。もうこの目は君しか映さなくて、君以外を追うことすらしなくなってしまったのかもしれない。だから、君の目も僕だけを追うようになればいいのに。
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