忘れやすい?

突然だが言わせて欲しい。



俺の誕生日は忘れられやすい…!



理由は簡単。卒業シーズン、修了式シーズン、はたまた受験終了シーズンでウキウキルンルン気分で誕生日なんて気にも留めない輩が多いからである。かくいう俺も、自分のことではあるのだが卒業する側であるためつい最近まで忘れていた。毎年ちょっと前からアピってなんとか覚えていてもらったというのに。流石俺、すっかり忘れていた。

「なんたる失態やぁぁぁあああ!」
「うるさいっすわ〜。」

おっ、何や光おったんかいな。光ならもしかして覚えとってくれはったりする……わけないやんなー。

「はぁ…」
「うっわ、なんですかその溜息。キショイねんけど…」
「キショッ?!ちょ、それは謙也さんでも傷つくでー?」
「はっ、いつから謙也さんはそないデリケートになったんすか?」

見事な毒舌っぷりに思わず拍手をしたくなる。主に俺に!よく耐えたという意味を込めて!
いつの間にか隣を歩いていた(そういえば本当にいつ来たんだろうか)光はスマホを片手で器用に弄りながらペラペラと毒づいてくる。可愛げのない後輩だ。でもそれが珍しくてみんなに愛されているのだろう。間違ってはいけないのは、公で愛されているわけではないことだ。影で、愛されるタイプだ。影で。重要だから2回言った。テストに出るで?

「俺は元々デリケートや!」
「さよですか。まあ何を悩んでるんかは知りませんけど。ただ、謙也さんが色んな人からめっさ好かれてるのは事実なんで、心配せんでも大丈夫やと思います。」
「ひ、かる…」

この口ぶりだと、まさか覚えていてくれて……

「よし、このフレーズは使えそうやな…」
「………ですよねー!そういうオチやんなー!」

スマホしながらペラペラと喋るなぁて思ったら、スマホ見てるから喋れてたんかいっ!そのサイトなんやねん!いざという時役に立つかもしれないフレーズ100やと?いざってどんな時やねん!理由も知らんくせに要らんこというなやー!

「せやけど、大体予想はついとるんすわ。どうせ、誕生日忘れられとるとかでしょう?」
「なっ、すごいな!なんでわかったん?!」
「………カン。」

カンって、まあそういうキャラやったけど。何かもう少し根拠とかあっても良さそうやけど…。でもまあ、光は案外カンが鋭いからな。分からないこともない。

「謙也さんが悩むほど忘れられてへんと思いますわ。少なくとも俺は覚えてはりますんで。」
「ひ、光〜!ええ後輩を持った俺は幸せや〜!」
「大袈裟っすわ。」

そっぽを向いて決まりが悪そうに呟く。というか照れ隠しだと思う。素直な光はレアだからこそ価値がある。悩んでいた俺もこれで少しテンションが上がるから効果は抜群だ。


▽当日

「謙也さん、誕生日おめでとうございます。プレゼントは俺です(買う金がなかったんで。)」
「え、ホンマに?(俺に光るの全てを自由にできる権限が与えられる?!)」
「おん。(どうせ出かけるくらいやろ。)」
((よっしゃお持ち帰り決定!!!))
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