兵長

「兵長!聞いてください兵長!」
「おいクソガキ。離れろ。聞こえてる。」

いつもより幾分か気分が上がっている俺は、椅子に腰掛ける兵長に明るく話しかけた。兵長はいわばあだ名のようなものだ。リヴァイ班で兵士長ことリヴァイ兵長。戦闘能力に長けていて、とにかく強い。ところで、俺が機嫌がいい理由は何なのかというと。

「重大なお知らせなんです兵長!俺たち進撃グループもついにこのサイトに登場出来るらしいんです!」
「………それで?」
「あれ?驚かないんですか?」

あまり反応を示さない兵長を見つめた。相変わらずコーヒーを飲んで優雅な空気を漂わせている。その絵面に俺がいることで優雅な雰囲気など完全に消滅するのは誰もが知っている事実だ。それでもたいして気にした様子もない兵長は、その優雅な動きの流れでコーヒーカップをそっと置いた。

「お前は俺にそんな情報も入ってきてないと思ったのか?」
「あ、いえ。でも、何も言わなかったので。」
「伝達するほどの喜ばしい事実でもないだろ。」

またそっとコーヒーカップを手に取りそれに口をつける。何で調査兵団なんかで、しかも兵長なんて座について兵士をやっているのかわからないほどに優雅な動き。なんでもそつなくこなしそうで正直羨ましかったりする。そして…

「嬉しくないんですか?」
「こんな名も知られてないようなサイトより、もっと有名なところの方がいいだろう。」

野望は大きい。確かにそれは思った。でも、ナイよりマシだと思う。

「話はそれだけか?」
「あ、はい。」
「それならもう寝ろ。子供は夜更かしするな。」
「……おやすみなさい。」

兵長は意外な一面が多い人だと俺は思う。すごい期待をされている上に実力もトップクラス。おまけに冷静かつ沈着だ。なのに驚くほど潔癖性で綺麗好きだし、あんま喋らない人かと思えばよく喋る。意外に面倒見がいいのも驚いた。クソガキとかちょっと口は悪いけど、実際ミカサやアルミン以外で一番良くしてくれているのもこの人だ。

「朝寝坊はするなよ。」
「はい!」

だからどうしたと言われればそこまでだけど。まあ、そんな兵長だからこそみんなに慕われてるんだろうなと、俺は最近なんとなく気づき始めたんだ。
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