君が欲しい

「はぁ…」

朝っぱらからため息をつく目の前の男にイラっとしながら、憂鬱な朝の景色を眺める。まだ、生徒がちらほら登校してきている時間だ。

「………あ、」

こんなことならもっとゆっくり登校するべきだった。看板の中を確認して、忘れ物があることに気がついた私は、脱力して椅子に座り込む。でもまあ、正直どーでもいいといえばどーでもいい。どうせ補講だけなんだし。そう思ったらなんだか眠くなってきて、眠気に逆らうことなくそのまま上半身を机に突っ伏する。

「おい、名前」

いや、正確にはしようとしたが遮られた。この声によって。折角の睡眠タイムうぃるを邪魔しないで欲しい。そして、なぜ名前で呼ぶ。やめて欲しい。

「ナンデスカ」

言ってしまえば、私は基本的にこの男をよく思っていない。勝手なイメージだけど。でも実際、勉強しなくても頭がいいという天才肌だし、バスケなんて1年で4番きてるし、顔もずば抜けてイケメンの部類に入る上に、告白されても絶対に付き合わない(という噂がある)のだ。女子の私としては、なんかこう………近寄りたくないっていうか。

「なぜ今避けたんだ?僕に失礼だろう?」

いや、あんたに失礼なのは知ってますよ。むしろ自分で“僕に失礼だろう?”なんて普通言わないし、おかしいでしょ。赤司くんくらいだよ。自意識過剰男め。

「そう?ところで用件は?」
「ん?」

ん?じゃねーし。こっちがん?って感じだよ。話しかけてきたのはそっちでしょうが!自分は何もしてないみたいな顔するなし。てかなんでうちのクラスは一向に生徒が来ないわけ?

「あ、そういえば僕が話しかけたんだったね。………」
「………」
「………何話すか忘れてしまったからもういいよ。」

忘れたんかい!そしたら真顔でいるな!考え込んでた顔をしなさい。って、ダメダメ。相手のペースにうっかり乗っかっちゃってるわ私。

「でも、そうだね………やはり思った通りだよ。」
「は?何がよ。」
「名前、君は面白い。ますます気に入ったよ。」

面白い?気に入った?なんで?!敵意剥き出しなんですけど。頭を抱えている私を見下ろしている赤司くんをウザいという目でみれば、ふっと薄笑をして教室から出て行った。あれ?あの人補講受けないの?まあいいか。

「Je veux que vous de plus en plus.」
(赤司くんが)(こう言ったのを)(私はまだ)(知らない)

***
Je veux que vous de plus en plus.=I want you more and more.
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