短編そのた | ナノ


▼ 夏休みのまえに

今日で一学期は終わり。

明日からは夏休みだ。

俺たちにとっては短すぎる夏休み。


だけど、今、走らなくちゃ、長すぎる夏休みになってしまう。


あのこの乗ったバスが、今、学校前のバス停を出発してしまった。


「…中村 湊……なかむらみなとおおおおーーーー!!!!!!」

馬鹿でかい声で叫びながら自転車に飛び乗る俺を、いろんな奴が振り返る。

だけど、名前を呼ばれた本人は、バスの中にいて、当然気付いているわけがない。


それでも、あのこの名前を叫び続けながら、俺はがむしゃらに自転車をこぐ。


絶対に、このまま帰らせてなんてやるもんか。



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