The day before Valentine's day | ナノ

The day before Valentine's day

The day before Valentine's day
Takato & Yuto
(短編『恋、急速上昇中。』より)
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「……鷹斗。座ってお茶でも飲んだらどう?」

「あ? なんだよ優斗……」

「さっきからそわそわと行ったり来たり、見てるこっちが落ち着かないっていうか……小春のことが気になって仕方ないんでしょ? 明日はバレンタインだからね」

「う、うるせぇな! 何で俺が小春のこと気にしなきゃなんねーんだよっ」

「チョコが貰えるか心配でいても立ってもいられないって顔に書いてあるから。そんな心配しなくたって、もう二人は恋人なんだから、小春だってきっとチョコの一つくらい用意してるよ」

「はぁ……いいよな、お前はそう余裕ぶっこいてられて。どうせ俺はいつだってビビってるよ。こう言ったら小春が傷つくんじゃねーか、こうしたら小春に嫌われるんじゃねーかって。好きになるのは時間がかかるのに、嫌いになるのは一瞬だ。明日気が変わることだってあるだろ。小春が俺にチョコを持ってくる可能性は限りなく100に近くても、確率は常に二分の一なんだぜ」

「鷹斗、めずらしく真面目なこと言うね……ちょっと今驚いて返す言葉がない。……そっか、鷹斗は真剣なんだね、小春のこと」

「当たり前だろ。俺は生涯アイツだけでいい。生まれた時から死ぬ時まで、小春だけを好きでいたいんだ。だから優斗、お前には絶対渡さねーからな! 今さら小春を寄越せとか言うんじゃねぇぞ」

「はは、そんなことまで心配してたの? 僕だって一応今の彼女を大切にしてるんだよ。小春は大事な幼馴染には変わりないけど、今にも噛み付きそうな番犬がいるせいで最近は話しかけるのも躊躇うしね」

「そりゃ、見張ってないとアイツすぐお前の前でヘラヘラするからな」

「それこそ嫌われないよう程々にした方がいいと思うけどね……。まあ、僕が思っていたよりもずっと鷹斗は大人なんだなって分かってちょっと安心したよ。バレンタイン前でそわそわしてるところは、まだまだ子供っぽいけど」

「っ、だからうるっせぇ……! そうやっていつもすまし顔で年上ぶってるけどな、俺が子供ならお前も子供なんだよ! 生まれた時刻まで一緒なんだからな!」

「はいはい。わかったから落ち着いて座りなって」

「チッ……小春はこんな奴のどこが好きだったのかさっぱりわかんねー……」

「うん? 何か言った?」

「別に、何も」

 それでも今、アイツの中には俺がいる。
 明日のお前はどんな顔して会いに来るのか。
 考えただけで、待ち遠しい。

The day before Valentine's day【完】
2017/02/15

昨年のイベントリクエスト募集の際に頂いたアイディアをもとに書かせて頂きましたっ。R様、素敵なネタをありがとうございました。
一日遅れましたが、ハッピーバレンタイン♪


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