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「花菜、って……呼んでもいい?」
「えっ……」
「恥ずかしいですか? 俺のことも、柊って呼んでくれていいんですよ? 妙に慣れ慣れしい女は嫌いですけど。先輩になら、そう呼ばれたいな。それにもうすぐ成人なのに、柊くんって子供っぽいじゃないですか」
「そ、そうかな? じゃあ……えっと、柊……」
「うん、照れながら俺を呼ぶ花菜、可愛い。これは想像してた以上にこたえますね……嬉しくてどうにかなりそう」
そう言って彼は離れた額に軽く唇を押し当て、微笑む。
「ちゃんと言えたご褒美に、いっぱい気持ち良くしてあげますね?」
「ン……、ぁっ!」
割れ目の中に指を入れると、ゆっくりと動かし始めた。
彼が触れた瞬間からすでに湿り気を帯びていたそこから蜜が掻き出される。
「いつもより濡れてますね。もしかして花菜は、こういうアブノーマルなエッチに興味があったんですか? もっと早く言ってくれれば良かったのに」
「ち、がぁっ……、はぁ……ぅっ!」
「いいんですか、そんな声出して。聞こえちゃいますよ?」
「ん、ぅっ……!」
片手で口を塞ぎ懸命に堪えるが、彼はさらに指を奥へ突き立てわざとくちゅくちゅ音を立てる。
「ふうっ、ん……やぁっ……はぁっ……」
「こんなに蕩かせちゃって……いやらしいですね。もう、これ、邪魔なだけですよね? 汚す前に脱いじゃいましょう」
「ぇっ、ぁ、やぁっ……!」
彼はショーツに手を掛けると、するっと太腿まで引き下ろした。
中途半端に引っかかったままで、これでは人が来た時に瞬時に気付かれてしまう。
「あ、の……柊っ……ちゃんと、脱ぐ……から……っ」
「くすっ……自分から脱ぐなんて大胆だなぁ、花菜は。でも……ダメですよ。俺はこのままの方がいい」
「っわ……!?」
くるっと身体を反転させられ、彼は後ろから腰を掴んで持ち上げた。
踵が浮き本棚へ両手をついて支えると、硬い感触が割れ目に押し当てられた。
「ひぁ……っ」
強張る緊張を解すように、彼のモノがゆっくりと狭い入り口を抉じ開けて挿入ってくる。
根元まで呑み込んだ後はいつものようにされるがまま、彼は打ち付けるように腰を揺すり始めた。
ズチュッズチュッ…ヌチュッヌチュッ…
「んんっ……、ふうっ……ぅ」
「こうやって犯されるのも、本当は大好きで堪らないくせに……いつもみたいに快感に酔い痴れて、狂ってる貴女を見せてくださいよ……っ、ほら……花菜のいいところ、突いてあげますから」
身体を密着させて囁くと、彼は下から突き上げるように激しくピストンする。
ひどく感じてしまう場所を執拗に狙われてまるで爪先まで痺れていくようだ。
「んぁっ、う……! そこ、だ、めぇっ……声、出ちゃっ……あっうぅ……、人、来る、からぁっ……ぁぁんッ!」
ズチュッズチュッ…グチュッグチュッ…ズプッ
「もう遅いですよ。さっきから反対側の通路でウロウロしてるおじさんがいるの、気付いてました?」
「ぇっ……、い……いや……っ」
言われて目を開けば、棚と棚の隙間から男の人の影が視界に映った。
本を探しているのかそれとも本当に気付いてしまっているのか……男性は不自然にその場を右往左往に歩いている。
「怖がらなくても、花菜の身体に指一本触れさせたりしませんよ。だからこのまま見学くらいさせてあげましょう。今、俺、とってもいい気分なんで特別に」
グチュッグチュッ…ズプッズプッ…ヌチュッ
「やぁ、はぁっ……ぁっ……ん、ぁぁっ!」
「花菜は俺だけに集中してくださいね? 他の男に余所見なんてしたら、俺、酷いことしちゃいますよ……?」
「んっ、んぅ……!」
快感の痺れは爪先から腰へ、そしてやがて全身へと広がっていく。
いけないとわかっていながら柔らかくなった膣壁は悦びしか感じない。彼の熱いモノが奥に当たる度、子宮がきゅうっと締まって疼いてしまう。
ズチュッズチュッ…グプッグプッ…
「何回抱いても飽きないな……ずっとこうして繋がっていたいくらい、気持ちいいですよ……」
「ぁんっ……はぁ……、私、もう……っ」
「あれ……今日は随分早いですね。見られているのにそんなに感じちゃうなんて、はしたない身体ですね」
くすっと卑しい笑みを洩らしながらも彼は激しく腰を揺さぶり絶頂まで導いてくれる。
「ぁぁっ、は……んぅっ、んん!」
あっという間にその瞬間は近付いた。
子宮が痙攣し、下肢全体の力が奪われていく。
「じゃあ俺も……出してあげます。俺の愛、全部受け止めてくださいね……?」
「は、んっ、ぁぁ……―――!」
頭が真っ白に弾けて、大きく背を仰け反らせて天を仰いだ。
直後、追いかけるように彼の熱い精もたっぷりと私の中に吐き出された。
私たちの様子を窺っていた男性はそそくさとその場を離れていくようだった。
やはり、見られていたのかもしれない。
恥ずかしくて居た堪れない気持ちに苛まれるが、興奮を覚えてしまったのもまた事実で……。
「これでまた俺から離れられなくなっちゃいましたね?」
火照る心を見透かしたように、彼が妖しく口角を上げた。
「そうやって、花菜の頭の中をどんどん俺でいっぱいにしてください。そしたらいつか……もっと深く、貴女を愛してあげますよ」
甘く優しい微笑みの裏で、狂気を剥き出しにした牙が覗く。
「―――絶対に逃がしてやらない」
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