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「……ちゃん、……伊緒ちゃん。だめだねえ、完全に潰れちゃってる」
「……」
優しい声と不機嫌な溜め息がすぐ傍で聞こえ、薄っすらと目を開けた。
「あ、起きたかな。伊緒ちゃん、大丈夫? 気持ち悪くない?」
ぼーっとする頭を何とか動かして見上げると、誰かが私の顔を覗き込んでいた。
私、何してたんだっけ……?
身体がふわふわする……熱くて、気持ちいい……。
「理玖のやつが無茶させて悪かったね。隼人がきつく咎めてたから、もう安心していいと思うけど」
「余計なことは言うな」
彼らの言っている意味がよくわからない。
それよりも今は、この熱をどうにかしたくて……喉が渇いて堪らない。
私はゆっくりと身体を起こし、愛する人に向かってふにゃふにゃと頼りない腕を伸ばした。
「……隼人……」
「えっ、……!?」
「チッ……、おい、何してんだ」
ドサッと押し倒れる二つの身体と、困惑する声。
一瞬ふと違和感を覚えるが今はそんなことを気にしている余裕はない。
「隼人……好き」
「えぇっ、伊緒ちゃ、……んう!?」
無意識にぽつりと呟きながら彼の顔を両手で挟み、即座に唇を重ねた。
目を閉じて体重を預け、いつも彼がしてくれるみたいに舌を挿し込む。
そのままねっとりと絡みつく……はずだったその舌は強引に押し返されて、私は首をかしげた。
「ん……隼人?」
よくわからないけど、もう一度唇を近付けようとするとグッと肩を抑えて止められる。
こんな時に限ってどうして焦らされるのだろう。
私は負けじと彼のベルトに手をかける。
「待った待った、伊緒ちゃん、ストップ!」
「どうして?」
尋ねながらもするりとベルトが外れた。
待ち切れず下着の膨らみに指先を忍ばせ這わせると、ビクンとそれが跳ね上がる。
「っ……なぁ隼人、酒を飲ませたのは理玖のせいだ。そしてこれは伊緒ちゃんのせい。俺は一切何もしてないからね」
「んな事言って、半分楽しんでるだろ。瑛司」
「はは、バレてた? いやぁ、この状況は美味いなと思って。人の彼女を抱くのは初めてじゃないけど、彼女の方から、それも彼氏の目の前で誘ってくるとはね。ゾクゾクする」
「……その悪趣味、いい加減どうにかしろよ」
「人の性癖にケチつけるのは野暮だよ……っと、……本格的にヤバイな、これ」
一向に私に触れようとしない彼に痺れを切らし、自らそこに口付ける。
邪魔な布をずり下ろすと、硬くいきり立ったそれが露わになり口の中一杯に頬張った。
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