執事の素顔 | ナノ

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もしもシリーズ企画
〜執事のツトメより〜
もしも彼がベロベロに酔っ払ったら…?

※この作品は、本編とは繋がりのない番外編です。キャラ崩壊や仮想設定が苦手な方はお戻りください。
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「あわわっ、お嬢様いらっしゃいますか!? 大変です…!!」

 バンッと大きな音を立てて扉が開き、ずいぶん慌て叫びながら新人執事が部屋へ立ち入った。

「……どうしたの? そんなに大声を出さなくても私はここにいるわよ」

「も、申し訳ありません! 突然お騒がせしてしまって!」

 ぺこりと頭を下げた執事に小さくため息をついてから尋ねる。

「一体何があったの? 大事な用件?」

「あっ……は、はい! あの、その、実は執事長がっ……」

「要?」

 ただごとならぬ形相で入ってきた執事の様子から察して、まさか要に何かあったのではと一瞬で不安がよぎる。

「何? ねぇ、要がどうしたの?」

「そ、それが! とても僕たちには手が負えない状況なんです。お嬢様のお力で執事長をどうにかしてください! お願いします!」

「はぁ? どういうこと?」

 言っていることの意味が分からず怪訝な顔で首をかしげると、執事は今にも泣きそうな顔を浮かべた。
 縋りつくような仕草を見せる執事の後ろを渋々ついていく私。

「こちらです。あとはお嬢様にお任せしてもよろしいでしょうか……その、僕はまだ仕事が残っていまして……」

 要がいるという居間へ案内した執事は私を残して足早に去っていく。

「まったく、何なの……?」

 やや不機嫌になりながらも居間へ足を踏み入れると、テーブルに突っ伏して眠る要の姿が目に入った。

「……要? 寝てるの?」

 軽く肩を揺すってみるが返事はない。

「要ってば。起きないと叩くわよ?」

「……ん……」

 ポンと頭に手を添えると、ようやく要は顔を上げて薄っすら目を開けた。

「こんなところで執事長がお昼寝?他の執事が困ってたみたいだけど」

「ん……あぁ……、桜……?」

「え?」

 いつもなら、執務中は決まって『お嬢様』としか呼んでくれない要が。
 今……私の名前、呼んだ?

「桜……迎えに来てくれたの? 僕のこと」

 あろうことか、すっかり口調まで変わってしまっている。
 こんな要は見たことがない。

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