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Valentine's Special
〜溺愛兄弟より 琉生ver.〜
琉生「ただいま。あれ……柚子、一人? めずらしくうるさい番犬が見当たらないけど」
柚子「あっ、琉生くん! おかえり。響ちゃんと大翔は遅くなるってさっき連絡があったよ」
琉生「そう。ごめんね、それならもっと早く帰ればよかった。夜に女の子を一人で留守番させるなんて本当に無骨な兄弟で困るね」
柚子「大丈夫だよ。もう高校生だもん、留守番くらいで泣いたりしないから」
琉生「くす……小さい頃僕に泣きついてくれた柚子はすごく可愛かったんだけどな。あ、そうだ。今日はね、お土産があるんだ」
柚子「お土産?」
琉生「うん。受け取ってくれるかな」
柚子「わぁっ……これって! 琉生くんがCMやってるバレンタイン限定のショコラリップクリームだ! 予約殺到でもう手に入らないって言われてたのにっ……本当に貰っていいの?」
琉生「もちろん。最近、逆チョコって流行ってるでしょ? だからこれは、僕から柚子にバレンタインのプレゼント」
柚子「ありがとう……!」
琉生「どういたしまして。ねぇ、知ってる? それを塗ってキスすると、甘いチョコレートの味がするんだって」
柚子「キっ……、キス!?」
琉生「うん。キス。ほら……僕で試してくれてもいいんだよ?」
柚子「な、何言ってるの琉生くん……!?」
琉生「ふふ、赤くなっちゃって。本当に可愛い子。そんな顔されると、もっと意地悪したくなっちゃうな」
柚子「も、もう! 琉生くん、からかわないでっ……。あっ、あのね、そうだ! 私も渡したいものがあったの!」
琉生「うん?」
柚子「こんな高価なもの貰っちゃった後で恥ずかしいんだけど……私も琉生くんにバレンタインチョコ渡そうと思って、えっと、その……初めて作ってみたの! よかったら、これ」
琉生「え……僕に?」
柚子「うん。響ちゃんと大翔には別のものを用意したんだけどね。琉生くんには……手作りしたいなって思って」
琉生「それは、僕だけが特別って思っていいの?」
柚子「……うん」
琉生「……嬉しいな。柚子からそんな言葉が聞けるなんて。ありがとう、大事に頂くよ。できれば一生このまま取って置きたいけどね」
柚子「そんなことしなくても、もし琉生くんが受け取ってくれるなら来年もまた作るよ?」
琉生「いいのかな、そんなこと言っちゃって。僕は一度聞いた言葉は絶対に忘れないタイプなんだけど」
柚子「ふふっ、来年はもっと美味しいチョコ作れるように頑張るから期待して待っててね」
琉生「柚子。今日は僕にとって、最高に幸せなバレンタインになったよ。本当に、ありがとう」
Happy Valentine's Day with 琉生.
The last is...?
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