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注:この作品は、短編小説『恋人は俺様執事』の続編です。前作を先にお楽しみ頂くことをお薦めします。 とある日の、朝のまどろみの中。
「お嬢様、おはようございます。こちらが本日のスケジュールでございます」
まだ寝ぼけ眼の私の前に差し出される、一枚のスケジュール表。
視線を上に向けると、そこにいるのは私の専属執事、創……ではなく。
「楓…おはよう」
目を擦りながら身体を起こすと、モーニングティーを注ぐ一人の執事の姿。
思わずうっとりする茶葉の香りに顔をほころばせると、楓も柔らかく微笑んだ。
「ねぇ、楓。創は?」
「ダイニングの方でお嬢様の朝食の準備をしております」
「……そう」
いつも私を起こしてくれるのは創だったのに。
目覚めた時一番に創の顔が映るその瞬間が、大好きだったのに。
今、目の前にいるのが創ではなく、楓という別の執事であるのはなぜなのか。
その理由は、さかのぼること三日前の話である―――。
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