失恋する黄瀬くん


先輩は俺が好きだと言うと、ちょっと困った顔をする。眉を下げて、苦笑い。もし笠松先輩が言ったなら、こんな顔はしないのだろうか。
「好きっス、先輩」
「ありがとー。私も黄瀬の事後輩として好きだよ」
ほら、また。
先輩はまた困った顔をして、言う。
後輩として、なんて線引きをする先輩が少しだけ憎い。人の機微に鋭い人だから、きっと俺の気持ちなんて、とっくに気付いているんだろう。それなのに突き放そうともしないどころか優しいなんて、本当、憎らしい。その優しさが、残酷だってことを、この人は知らないんだろう。
彼女は部誌に視線を戻すと、またシャーペンを走らせる。今日の出来事の欄にすらすらと書いていく彼女に、少し悲しくなって、彼女の名前を呼んだ。
「なぁに、黄瀬くん」
「…やっぱ、なんでもないっス」


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