こたにぃと雪の日




窓の外は一面銀世界だ。それを青白い月光が、優しく照らす。
「こたろ」
「ん、どうした?」
「星、見えないかなぁ」
琥太郎の大きな手が、私の頭を何度も撫でる。それが心地よくってもっと、とねだるように身を寄せた。
「雲晴れてきたし、見えるかもよ!」
「こんな寒いのに外行くのか」
また風邪ひくぞ、と琥太郎が愁眉を寄せて言う。
う。確かに。前回風邪をひいたのは寒い中遅くまで星空を観察していたせいだった。だってすっごく綺麗だったんだから仕方ないよね!気付いたら午前2時だったから何さ!
「今度はちゃんとコート着てぐもん」
しばしの躊躇のあと、琥太郎はベランダでならと渋々許可をだしてくれた。
わぁい琥太郎大好き!と琥太郎に抱きつけば、頭上から呆れたようなため息が一つ。それからまた頭を撫でられる。子供扱いしないでと抗議しようと上を向いたら、タイミングを見計らったかのように、唇をふさがれた。
「ココア入れてくるから先行ってなさい」




一足先にベランダに出てみれば、大きな月がやわらかく地上を照らしていた。
「きれー…」
おのずと零れた呟きは白い雪に吸い込まれて消えた。吐き出した息は白く、あぁ冬なんだなぁとしみじみと思う。ついこの間も思ったばかりだけれど。
ふと差し出されたコップを手に取れば、鼻腔を擽る甘い薫り。
「琥太郎ありがとー」
琥太郎は適当な返事を返すと、私の隣に来てベランダに寄りかかる。間抜けたスリッパの音が、静寂をおかす。
「ねーねー、こた」
「なんだ」
「愛してる」
とたんにむせた琥太郎の背をさすってあげる。どうしたんだろ、気管支にでも入っちゃったのかな。
「いきなりそんなことを言うんじゃない」
「言いたかったんだもん」
「もん、なんて可愛く言ってもだめだ」

むぎゅ、と鼻を詰まれる。
「いはいばか」
「誰がばかだこら」
ちょっとだけ眉を寄せて、琥太郎が怒ったふりをする。そんな顔をしていると少しだけ琥春さんにそっくりだ。
あ、そういえば暫く会っていないけど琥春さん元気かなぁ。
こたろが鼻から手を離した。
「俺も」
「ふぇ?」
摘まれていたところをさすっていると、額を何かが掠めた。
なんだろう。温かくて、柔らかかったよー、な…
「俺も、愛してるよ」
今度は唇を、柔らかな熱が掠めた。


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