土方さんに貰った手紙
拝啓妻君殿から始まった手紙は、とても嬉しいものだった。
あれだけ長く一緒にいたのに、文をもらった事はなかった。…まぁ、それだけ近くにいたという事だろう。
手紙には【読み終えたら、破って捨てておけ】とあったが、この手紙は後生大事にとっておこうと思う。
ふと空を見たら大分日が傾いていた。そろそろ土方さんが帰ってくる頃だ。早く片付けねば、土方さんに取り上げられてしまうだろう。
何処にしまえば、土方さんにばれないだろうか。
「ん、どこにしまおうかな…」
そうだ!
百味箪笥なら、ばれないかな。藥を調合するのは私の役目だし。
そう決めた私は、早速百味箪笥に隠しに行った。
「んっ、此処でいいかな」
まるで手紙を隠し終えたのを狙ったかのようにただいまと声が聞こえた。
「お帰りなさい!」
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