つたないこころの裏側で
※attention※
これは略称を戦コレというゲームのキャラクター・[おウツケ様]織田信長が相手の夢小説です。小悪魔王ではなくウツケの方です。
またイベントを下にした捏造甚だしいお話となっております。
以上の点をふまえてお読みになってください。
お内裏様役の信長は雛壇の上で脇息に頬杖をつきながら、一人甘酒を飲んでいた。他の武将たちが和気あいあいとする中、心なしか少し不機嫌そうだ。そんな信長の回りには一人も居らず、ずっと手酌で飲んでいる。彼の配下の名前は他の武将達にお酌をして回っていた。信長はそれをつまらなさそうに眺めながら、甘酒を一気に呷った。気に食わない、そんな感じだ。
不意に名前が信長を見上げて、微笑んだ。が、すぐに眉を吊り上げた。
「信長さまっ」
名前は胸元がはだけている信長を見るなり、声を荒らげた。
「なぜはだけているのですか!」
「うるせー、俺の勝手だろ」
信長がまた一気に甘酒を呷る。
主を置いていき帰ってきたと思ったら開口一番が叱責であることに、少し良くなったはずの信長の機嫌がまた悪くなる。
空になった盃を名前は信長から取り上げる。
「まったく。少しは北条早雲さまを見習ってください」
「けっあんなスカした奴に見習うことなんかねーよ」
「信長さま」
嗜めるように名前が呼ぶと、ばつが悪そうに目を逸らす。
「……まずはお召し物の乱れをなおしましょう。信長さまはきちんとした格好をされていれば北条さまに見劣りせぬ美丈夫なんですから」
そう言って、名前は戸惑う信長のをよそに彼のあわせを整え始めた。
美丈夫だって?ふっと信長の機嫌が良くなった。ダメ出しをされた気もするが、美丈夫だと名前に言われたことのほうがはるかに嬉しかったのだろう。
「え?お、おいっ」
「動かないでくださいませ」
名前がてきぱきと信長の服装を整える。名前の顔がすぐ近くにある。ふわ、と名前からいい香りがして、信長の心臓が早鐘を打つ。
「ガン飛ばしたり、威嚇するのはおよしください。そんなことをしていたら、皆さん寄ってきてくれませんよ」
「……うっせ、もういい」
むっとして名前の手を払うと信長は強引に彼女を隣に座らせた。
「のっ信長さま!?」
「いいから座って酌をしろ」
目を白黒させる彼女に徳利を押し付けて、信長はまた協息にもたれる。胸元はまだ少しはだけていて、名前はそっと目を逸らした。
「……はい」
「ん」
つたないこころの裏側で
少し離れたところに座っていたお雛様役の道鏡が苦笑した。まったく、この大きな子供は……そんなところだろうか。符に力を込めて、キャット式神を呼び出す。ちょっといたずらをするためだ。
「行け、キャット式神!」
キャット式神はピューと飛んでいくと名前を信長の方に突き飛ばした。短い悲鳴と共に信長を巻き込んで名前が倒れた。振り返ったキャット式神が腕で丸を描く。事故チューが成功した合図だ。道鏡は心のなかで式神を労って、元に戻した。
(これであの二人の恋が発展するか、見物ね)
140304
信長→←名前な両片思いのつもりだった。信長がエセすぎて申し訳ない