昴くんがお弁当を届けてくれる


一限が終わって、カフェテリアでお茶を飲んでいると、ふいに携帯が鳴った。画面を確認すると、昴くんからだった。恋人?なんて言う友人にいとこだよと返して電話に出る。
「もしもし昴くん?」
「お前今どこ?今日弁当忘れたろ」
「お弁当……あ!」
朝琉生にぃがせっかく持ってきてくれたのに、慌てて家を飛びだしたから忘れちゃったんだ。家へ帰ったら、琉生にぃと京にぃに謝らなくちゃ。
電話越しに昴くんがため息を吐く。
「で、今どこだよ?」
「カフェテリアでお茶飲んでたとこ」
「そこで待ってろ、すぐ行く」
ぶち、と一方的に電話を切られた。待ってろ、ということは昴くんがお弁当を持ってきてくれるということだ。
カフェテリアにちらほらと人が集まりはじめている。お昼時だからそろそろ混む時間帯だ。私たちは今、カフェテリアの奥の方に座っている。上背がある昴くんを探すのならまだしも、小さい私を探すのは苦だろう。友達に一言断って、カフェテリアの外で待つ。
朝はドタバタしていて気にしなかったけど、今日はよく晴れている。日差しはきつく、山の端にもう入道雲ができている。もう夏だなぁとしみじみと思って、わくわくする。課題ラッシュが終われば、待ちに待った夏休みだ。今年もみんなと行く別荘が楽しみだ。
別荘に行ったらなにしようかと考えながら昴くんを待つ。
しばらくすると昴くんがやってきた。
「わざわざ外で待ってたのか」
「今日は奥の方座ってたから分かりづらいかなーって思って。お弁当ありがとう」
「帰ったら琉生兄と京兄に謝っとけよ」
「うん、そうするよ。昴くんありがと」
「おう」





 

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