琉生にぃがお化粧してくれる
あずにぃとつばにぃが出てった後、急いでシャワーを浴びた。身支度を整えているとピンポーンとチャイムがなった。鍵は開けっ放しだからどうぞーと声をかけると、失礼します、と声をかけてから誰かが入ってきた。失礼しますと声をかけてから入ってくるのは京にぃとあずにぃ、琉生にぃと祈織くんくらいだ。他のみんなは崩して言ったり言わなかったりする。
「……おはよう。右京兄さんが、おにぎり、車の中で食べてって」
琉生にぃがいつものお弁当のつつみとおにぎりをラップで包んだのを差し出す。ありがとうと受け取りつつ、車という単語に首をひねる。誰か暇だから送ってくれるとかかな?
「車?」
「うん。要兄さんが、下で待ってる」
「かなにぃが?やった!」
ちょっと時間に余裕ができたので、目の下のくま(中々消えなくて困ってる)を隠すために簡単に化粧をしようと思ってカバンからポーチを出す。二徹した日、帰ってそうそうつばにぃにひどい顔と笑われてからは毎日化粧をするようにしている。風斗くんにも散々言われてたし、大学へ進学したのを機会にメイクをちょっとだけするようになった。女性らしくなりましたね、なんて京にぃに言われたのはちょっと嬉しかったけど、まったくあの二人はデリカシーないよね。
す、と横から手が伸びてきて、コンシーラーを琉生にぃが私の手から取り上げた。
「貸して、僕がやる」
「……ありがと、琉生にぃ」
琉生にぃは美容師さんで、お化粧も得意だ。だから私が化粧を始めたときは真っ先に琉生にぃに相談した。今持っている化粧品は琉生にぃのオススメだ。
琉生にぃはコンシーラーの次にフェイスパウダーを取り出した。
人にお化粧をしてもらうってちょっと変な感じだ。自分でやるときはそうじゃないのに、人にやってもらうと妙にくすぐったい。
琉生にぃは次にシャンパンゴールドのパウダーを目の下のあたりにブラシで重ねた。マスカラを塗って、仕上げにはめったに使わない口紅を塗ってもらう。
時計を見ると、時間が少し押していた。あわててカバンと、さっき琉生にぃに貰ったおにぎりを持って駆け足で家を出る。
「琉生にぃありがと!京にぃにもよろしく!行ってきまーす」
「待って、お弁当……」
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