Twitterログ 診断メーカーを元に書いた140文字のお話。夢だったりオリジナルだったりいろいろです。 2014/12/05 11:11 泣きじゃくる彼女を前に、新開はどうしたらいいかわからず困惑した。優しくなんてしたつもりはない。友達が泣いているなら慰めるのは当たり前だし、困っていれば手を差し出す。新開は今日もこれまでも、当たり前のことをやっていただけだ。だから今も、彼女が泣いているから慰めようと差し出された手がなぜ拒絶されたのか分からない。 嗚咽をこぼしながら、彼女は途切れ途切れにこう言った。 「優しくするなら私だけのものになって。できないなら私に構わないで」 新開は数回瞬きをして、首を傾げた。どうして彼女が自分を、優しいと思うのかさっぱり分からなかった。新開自身としては、当たり前のことをやっているだけなのだ。本当に、優しくなんてしたつもりはない。 新開は少し考えて、どうにも自分は優しくなんかないし彼女だけのものにもなれないので、一言ごめんねと言った。 「酷い人ね、散々人を期待させるような事ばかり」 「そうかな、そんなつもりはなかったんだけど」 「無自覚なのね、タチが悪いわ」 彼女は依然として俯いて涙をこぼしながら、若干の鼻声でどこか行って頂戴と行った。新開は最後に彼女といるときよくそうしていたように頭を撫でて、ごめんねと、もう一度だけ言って部屋から出ていった。 141205 |