月一回の食事の取り方。 「おねーさん、僕と遊んでよ」 少年の振りをして、比較的彼に心酔してる女へ尻尾を振って近づく。 「あら、随分可愛らしい坊や。遊び相手がいないの?」 「うん。DIOがおねーさんの事が一番頼りになるから遊んでもらうといいってさ」 「まあ、DIO様が?」 恋する乙女のように顔を赤らめて夢見心地。可哀想だなあ、と思うと同時に馬鹿だなあ、とも思う。せめてあのクズ帝王が彼女を絶望させずに食い切って欲しいところだ。 暫く読み聞かせしてもらったりボードゲームをしたりして遊び、強い睡眠薬が入った紅茶を飲ませる。ベッドの上で話している間に眠りについてくれたら、なるべく背中に近い首筋の場所に牙を立てて血をもらう。ギリギリ死なない程度まで飲んでから、眠る彼女を彼女の部屋まで持って行き、鉄分入りのクッキーと一緒に一緒に遊んでくれてありがとうと手紙を置いておく。これを三人ローテーションで二、三回繰り返したらDIOの食事の番がくると言った感じだ。 少年の演技は楽しい。小悪魔な男の子の演技をすればするほど頭や股の緩い女性達は喜んで「将来が楽しみね」と心を許す。小悪魔な演技は全部DIOの食事風景を(笑いそうになりながら)盗み見たものを真似てるので、彼女らには取り付き易いといったところだ。 役者の道も悪くなかったかもな。まあもう吸血鬼だからどうでもいいけど。 「リリィ、貴様見ていたな」 「なにを?」 「私の食事風景をだ」 「別にいいじゃない?面白かったわよ」 「あからさまに笑いを堪えながら言うな」 「お笑い番組より面白かった」 「クソッ貴様…」 「恥ずかしいの?」 「そんなわけがあるか」 「じゃあいいでしょ」 そんぐらいのスリルや笑いや娯楽がないと、生活が生ぬるくなってしまうじゃあない。そういうとDIOは頭を押さえて溜息を吐いた。娘の所業の悪さに頭を抱える父のようだ。いや、やる事の悪さはあんたのが大きいだろ。 「やれやれだ………」 「なにがやれやれよ」 実父よりも父親みたいな彼の反応は、嫌いではないけれど。 おいしいごはんのいただきかた (騙したお詫びのお菓子は忘れずに) |