XX[‐地下アジト殲滅大作戦2


 ヤミカラスを追いかけて長く無機質な灰色の廊下を駆ける。次の角を曲がり、ヤミカラス(が真似しているラムダさん)の声がする方へ近づいていると。

「あれ、このヤミカラス誰の?」
「ここのポケモンかなあ…どこから来たんだろう」

 聞いたことのある二つの声と、少年少女の背中が見えた。

「…あ。」
「え?」
「どうしたのヒビ、」
「…、」

 セキが苦い顔で小さく「お前ら…」と呟く。少年少女…もといヒビキくんとコトネちゃんが、驚いたようにこちらを見て、思い思いに片方づつの名前を叫んだ。

「アズサさんだっ!」
「セキ!?うわあ久し振りだなあ!」

 コトネちゃんがあたしの方に駆け寄り、ヒビキくんがセキに近寄る。

「久しぶり、コトネちゃん」
「二人ともどうしてここに?!」
「それはこっちのセリフなんだが」

 話を聞いたところによると、あたし達同様に怪電波が気になって土産物屋に入ったところ、ワタルさんにばったりと遭ったのだそうだ。

「びっくりしましたよー?だって物凄いチャラいしマントつけてるしで」
「うん…確かにね…」
「そしたらワタルさんが、“先に中にいる二人が鍵を持ってきてくれるだろうから、周りのしたっぱ達を蹴散らしつつ合流次第協力して装置破壊を頼まれてくれ”って言ったので、僕らはその通りにしてここで待ってたんです」

 ヒビキくんの説明に続いて「なーんだ、先に中にいる二人ってアズサさんとセキだったんだ」と笑うコトネちゃん。セキはやれやれと肩を竦めてヤミカラスの方へ足を動かした。

「そうか、なら話は早えな」

 どおりでこの階の刺客が少なかったわけだ。と呟きながら、セキはよっこらしょと声を上げてヤミカラスを認証機の前へ持ち上げる。「ヤミカラス、パスワードは?」と(いつもより優しめの声で)(解せぬ)語りかけた彼に応じて、ヤミカラスはラムダさんの声でパスワードを口ずさんだ。

「サカキサマバンザーイ!!」

 ピピピ、と電子音が鳴り、扉のロックが開いた。

「あっ、開いた!」
「ヤミカラスが変な声で言ってたのはパスワードだったの?」

 開いた扉から顔をひょっこりと覗かせて左右確認、中にロケット団がいないことを確認する。そこには部屋のほとんどのスペースを占めるどでかい精密機械と、精密機械に電気を流し続けている六体のマルマインだった。

「あれを壊すの?」
「そうっぽいですね」
「大変そうだなー」
「……アズサ、コトネ。まさかとは思うが…この機械ごとポケモンの技でぶっ壊そうとしてないか」

 セキの質問に、あたしとコトネちゃんは驚愕して彼の方を振り向いた。

「えっ」
「違うの!?」
「当たり前だろ!!そんなことしたら俺らも巻き添えくらうに決まって」
「そ、そうだったんだね…」
「お前もかヒビキ!!!」

 セキ以外がとんでもない思い違いをしていたらしく、一同彼にプチ説教を食らう。「少しは常識的に考えろ」とか「俺が聞き直さなかったらどうなってたか」とか耳の痛いお言葉を聴いたあと、それじゃあとあたしはマルマイン達を示した。

「エネルギー源のマルマイン達を戦闘不能にするってことだね!」
「当り前だ」
「ごめんなさい…」
「確かに機械に技当てちゃったら、マルマイン達が大変なことになっちゃうもんね」
「なら手分けして戦おう。右側をそっちで、左側は僕らがするよ」

 ヒビキくんの指示に頷き、中に入ろうと足を踏み出した時。

「お待ちなさいな」

 ハスキーな女性の声が廊下に響いた。声のしたほうを向くと、暗めの赤髪をしたナイスバディな幹部らしき人が、したっぱを何人かほど連れてこっちに来ていた。危機感を察知する。あたしを含めた全員の警戒心が急激に高まるのを感じた。
 カツカツとヒールの音が、灰色タイルの廊下に響く。

「あなたたちかしら?このアジトを引っ掻きまわしている子達は」
「…それが、なにか」

 コトネちゃんが恐る恐る言う。彼女は赤い唇に愉快そうに笑みを浮かばせて「ふふ」と声を漏らしてみせた。それを見た瞬間…不覚にも、あたしの警戒心が緩く結んでいた紐のようにほろりとほどけてしまった。なぜなら。その笑みからは何故か、今まであたしが見てきた“悪党”と呼ばれた人達のそれから滲み出ていたような厭らしさは、微塵も、感じなかったから。

「なかなかやるのねえ……見たところ何処にでもいそうな子ばっかりなのに」
「あ、アテナ様…笑うところでも感心するところでもありませんよ、そこは」
「いやねえー、お堅いんだから。別に好きに笑わせてくれたっていいじゃないの」
「……」

 興味深々にあたし達を一人一人見て笑う。キツそうな顔をしているのに、優しい笑い方をするものだ。したっぱの口調からして、幹部なのはまず間違いないだろう。あたし達一同といえば唖然と彼女を見ていた。これが本当に“悪党”の幹部なんだろうか?ラムダさん然り……変な人たちだ。

「でもま、かわいい顔をした子供でも油断はできないってことよね。あの人を倒したのも子供だったことだし」
「…それって、もしかしてレッドのことですか?」

 あたしがつい口を出すと、彼女の顔がパッとこちらを向いた。その目からは、あたしが言った人物に対しての憎しみなんて感情は一切感じられず。…自分の大切なボズを倒されているというのに。

「あら、そこの青目のあなた、あの子を知ってるの?そうねー、あの人を倒したくらいだから今は大層に成長してるのかしら」
「大層というか、シロガネ山に引きこもってます」

 その言葉に虚をつかれたようなぽかんとした表情をした彼女は、次の瞬間盛大に愉快な笑い声を上げた。

「あっはっはっはっは!!!そう!やるわねえ全く…!さすがにそれは想像してなかった!」

 何処にでもいそうな、気さくなお姉さんの雰囲気だ。どうしてこうロケット団の幹部は変わり種ばかりなんだろう。ランスさんは別として、本当の本当にこの人たちが三年前に世間を騒がせた悪党なんだろうか?

「お姉さんは、幹部なんですか?」
「ええそうよ。自己紹介が遅れたわね、私はアテナ。ロケット団幹部の一人よ」

 アテナさんは腰に付けてあったモンスターボールを手に取り、妖艶に二コリと笑った。

「そう、私は幹部だから、ここであなた達を倒さなきゃいけないわけ。部下が追い払えないほどのものなら尚更、ね」
「俺達もそういうわけにはいかないんだ」
「そういうと思ったわ」
「おおー、幹部直々に勝負とはこれまた豪勢だなあ」

 聞いたことのある声がして、男物のブーツを踏みしめる音。黒いマントを靡かせて華麗に登場したのは言わずもがなあの人だ。

「あ、あのマントの人」
「ほんとだ」
「ワタルさん!」
「やあ、遅れてしまったね」

 ふわりと爽やかなイケメンの笑みを浮かべる。アテナさんはやっぱりと言うように肩を竦めた。

「誰かと思ったら…貴方までいたのね、チャンピオンワタル」

 その何気ない言葉に、あたし達リーグチャレンジャーは思わず凍りついた。

「は?」
「…チャンピオン?いまチャンピオンって言いました?!」
「この人がですか…!!?」
「こいつがか…!?」
「みんな反応の仕方がちょっと酷くない?」

 お兄さん泣いちゃうよ…としょげた顔をした彼は、こほんと咳払いをしたかと思うと顔を引き締め、威厳溢れるオーラとともに悠然と片腕を広げた。
 其れ相応の風格が滲み出るオーラ。疑い様がない、この人はチャンピオンだ、今まで見てきたチャンピオン達と同じ匂い。間違いなく頂点に君臨する者の匂いだった。

「以下にも。俺がセキエイリーグのチャンピオンたる覇者、ドラゴン使いのワタルだ」
「お目にかかれて光栄よ。…“ドラゴンスレイヤー”」

 耳に慣れない単語に首を傾げる。ワタルさんは苦笑いしながらあたし達に補足説明をした。

「アズサちゃんの“白波の巫女”みたいな二つ名さ。好きじゃないけどね」

 さあて、と零しながらワタルさんがモンスターボールを構える。アテナさんの後ろに控えていた五人ほどの部下がそれに反応し身構える。アテナさんは依然として悠々と立ちはだかっていた。

「僕の相手は君かな?アテナ」
「私はこの子と勝負がしてみたいのよ。お前たち、三人で彼を、二人で帽子の少年少女を相手なさい!」
「はっ!」

 御意の声を上げた幹部はそれぞれに配置につく。ヒビキくんとコトネちゃんは焦った声色であたしとセキの名を呼んだ。

「ふむ…ハンデをあげよう。君ら纏めて三体に俺は一体でどうだ?」
「なめやがって…!」
「後悔してもしらねえぞ」

 余裕の態度に歯ぎしりする三人のしたっぱ。したっぱと言えど…あの人たち中々デキる人だ。チャンピオンの実力はそこしれないということか…恐ろしい。自分達の相手に向き直る。赤い彼女がボールを構えた。

「俺らの相手はあんたか」
「……貴方のその目に見覚えがあるわ」

 セキをじっと見つめてそう言った彼女に、セキがピクリと肩を動かした。何か、様子がおかしい。

「そうね……ちゃんとみると、目元がよく似て」
「黙れ」

 セキの低く唸るような声がアテナさんを一喝した。彼女はふふ、と申し訳なさそうに笑い肩を竦める。

「ごめんなさいね」
「…セキ?」
「なんでもない。バトル、はじめるぞ」
「…? うん」

 あたしはシェイミを出し、セキはマグマラシを下げてニューラを出した。対するアテナさんはアーボックとクサイハナを繰り出した。弱点は前者がじめんタイプとエスパー、後者はこおり。さてこの勝負、どう出るか。

「青目のあなた。白波の巫女なのね」
「ええ、まあ」
「噂の三リーグ攻略者と対決なんて…しかも」

 アテナさんはちらりとセキを一瞥した。

「…幸運(ラッキィ)、か。ふふ、粘り強く生きてみるものね!アーボック!どくぎり!クサイハナははっぱカッター!」
「させない!シェイミ!かぜおこし!」
「ニューラ、クサイハナにこおりのつぶて!」

 どくぎりはかぜおこしで中断、こおりのつぶてと葉の刃が両者の間でぶつかり相殺。続いてのターンはニューラの鍛え上げたスピードが勝りこおりのつぶてがヒット、クサイハナに大ダメージ。こちらはシェイミでアーボックにはっぱカッターとヤドリギのタネ、じわじわと追い詰めていく。

「子供だと侮ってはいけないわね…強いわ、あなたたちのポケモン」
「その言葉は有難く受け取っておく。ニューラ、れいとうビーム!!」

 クサイハナが瀬戸際まで追い詰められる。その時。アテナさんは反撃に出た。

「クサイハナ!どくづき!」
『!』
「ニューラ!」

 ニューラに迫る毒の触手、すると突如ニューラの目の前にシェイミが現れ、瞬く間にどくづきの餌食となった。その直後にシェイミの放ったエナジーボールで、効果はいまひとつなもののギリギリだったクサイハナは倒れた。次に出されたのはヤミカラスだった。

「シェイミ…!?」
『シェイミさん…!!』
『うう゛…っ みーは毒を受けても平気です!ただ時間稼ぎが必要です…ニューラ、できるですか…っ』
『ま、任せてください!ぼく、時間稼ぎます…!このご恩…絶対に絶対にっ返してみせますから!』

 いつものおどおどを押し込め、シェイミの前へ足を踏み出し構えるニューラ。その背中を見たシェイミはニヤリとニヒルに笑ってみせた。

『いい意気込みです…っ』
「そうか、リフレッシュだな……ニューラ!ターンを稼ぐぞ、アーボックの足元にこおりのつぶてで足止め!ヤミカラスをれいとうビームで近付けさせるな!」
「シェイミ、リフレッシュ!」

 シェイミの身体が新緑の光に包まれる。フィールドに躍り出てアーボックの胴体を上手く氷で固めたニューラは、近付こうとするヤミカラスにれいとうビームを浴びせ……
 いや、ヤミカラスは距離をとった。攻撃しないつもりなのだろうか…?いや、違う、これは。あえてれいとうビームの射程圏から遠ざかってるんだ。

「!まずい、読まれてる!!」
「っ! な」
「おいそれと餌食にはならないわ、ヤミカラス!おいかぜ!」

 スピード三倍。きっと反撃を入れる気だ。

『もう大丈夫です!』
「次はきっと攻めてくる…二人とも気を引き締めて」
『引き締めすぎて引きちぎれそうなくらいです』
『つ、つぎこそは…っ』
『肩の力を抜くですニューラ!そんながっちがちで戦えると思ってるですか』
『ひ、はいぃっ!』
「! くるぞ!」

 氷を砕いたアーボックが噛み付こうと牙を剥き出し突進してくる。ニューラはなんとか避け、ひっかくを仕掛けるが避けられた。シェイミの方はヤミカラスのあくのはどう。まともに食らうが伊達にあたしの相棒ではない、負けじとエナジーボールを炸裂させた。陸には陸を、飛行には飛行をときたか。生憎その流れには持っていかせはしないけどね。

「…次で決定打を打つよ」
「ああ。次の攻撃、恐らくあいつらが先制だ……アーボックの攻撃でシェイミの動きが決まる」
『どっちにしろ、ターンは稼がなきゃいけないです』
「ニューラ、いけるか」
『ぼ、ぼくが… ぼくが、やらなきゃ……』

 プレッシャーで体に力が入り上手く戦えていないんだろう。無理もない。セキはそんなニューラの肩に手を置いた。
 …言葉は聞こえないけど、やっぱり、持ち主とそのポケモンの間には言葉でない何かが通じあっているんだ。言葉なんかなくたって…通じてるんだ。

「安心しろ」
『!』
「お前はやれば出来る。今まで何度も、証明してくれただろ」
『……』

 たったその一言で。
 ニューラは悩ましげな表情を振り払い、キリリと前方を睨んだ。セキが微笑む、それを垣間見たニューラは凛々しく微笑んでみせた。

「そろそろ追い詰めるわよ、アーボック!どくぎり!」
「!」

 きた。これでシェイミの動きは決まった。

『アズサ!』
「うん! シェイミ!シードフレア!!」
「ニューラ、こおりのつぶて!」
「無駄よ!ヤミカラス、避けなさい!そのまま接近しつばさでうつ!」
「負けるなニューラ!こおりのつぶてで迎え撃て!」

 空中に放たれるこおりのつぶてを華麗に避けるヤミカラス。隙を見計らい自身の翼を硬化させ、ニューラに接近するために急降下を始めた。セキがニヤリと笑う。アテナさんの顔がハッとする。ニューラは爪をここぞとばかりに尖らせる。さあフィニッシュだ。そう言わんばかりに。

「かかったな」
『!』
「ニューラ、本当の迎え撃ちだ…れいとうパンチ!!!」

 限りなくギリギリまで近付いたヤミカラスに向かって迷いない酷寒のパンチを送る。ヤミカラスが吹っ飛んだ。今、シェイミは毒霧を吸い込み切った。

「シェイミ!二体に接近しシードフレアッ!!」

 ゴッドバードにも近いスピードで逃がす暇も与えず二体に接近するスカイフォルムのシェイミ。そしてその身体が眩しく光り…水と光の大爆発を起こした。

「っ!??」

 ゴオ、と爽やかな爆風がトレーナー両者を煽る。飛ばされそうなあたしをセキが庇うように引き寄せた。

「…………」

 目を開ける。二体は目を回して地に伏せていた。

「……負けたわね」
「…やった…やった!勝ったよ!ニューラの大活躍のお陰だねっ」
「ニュウゥ〜〜ッ!!」
「よくやったな、ニューラ」

 膝を折り飛び付くニューラを受け止めるセキ。ニューラもセキもどちらも幸せそうな笑みだった。

「こちらも終わったぞ」
「ワタルさん…ヒビキくんとコトネちゃんもおわったんだね」
「ばっちりですよ!セキのニューラすごかったね!最後のれいとうパンチとか痺れたぁー」
「今度僕とバトルしよう!ね、いいでしょう?」
「……一段落したらな」
「最近全然勝負をしかけてくれかいから寂しいんだぞー?」
「あの時のことはちょっともう忘れろ若気の至りだ」

 そんな感じのわいわいがやがやをシェイミが一喝し、場が静まる。アテナさんはニコリと笑った。

「さあ、勝負はついたぞ。おとなしく来てもらおう」
「悪いわね」
「、なに」

 したっぱが隠し持っていたのか、煙幕用の煙玉が投げられる。ワタルさんが彼女の名を叫んだ。

「…私はまだ捕まりたくないのよ、やらなければいけないことがあるから」

 煙に巻かれる中、アテナさんは、とても悪党には見えないような儚い微笑を零していた。
 
 煙が消える。人気はすっかり消えていた。逃げられたな、とワタルさんが罰悪そうに呟いた。

「すまない…これは俺の油断だ」
「そこまで責任持たなくてもいいだろ。今はとりあえずこの装置だ、はやくマルマインを倒さないと…」

 手分けして軽くいなすようにマルマインを倒す。そして完全に機械が止まったことを確認し、やっとのことで一息吐いた。

「…終わった…」
「撤収しよう、ここに居続けるのは少し危険だ」

 階段を駆け上がり、廊下を歩く。ワタルさんはやれやれと言ったようにセキに話しかけた。

「しっかし驚いたなあ。セキくん、君は中々の問題児だと聞いていたんだぞ」
「……どこ情報だそれは…」
「ジムリーダー達は目星になりそうなトレーナーが現れるとリーグの方に情報を寄越してくれるんだ。というかそういうシステムなんだが…君は目星というよりたまに居る問題児扱いだったんだよ」
「……」
「警告がてらにここにきたというのもある」

 反論できない、と顔を両手で覆ったセキが自責タイムに入ってしまった。ワタルさんは言い過ぎです、気持ちは分かるけれど。

「わ、ワタルさん、あのー…あんまりほじくり返すのは…」
「うむ、いやしかし必要なくなっていたようでびっくり驚いたよ!むしろ目星の方に片寄りつつあるな!」
「貶すか褒めるかどっちかにしろよチャラ男チャンピオン……」

 セキはげんなりしながら毒を吐いた。チャラ男という単語にヒビキくんが吹き出した。コトネちゃんの方はなんとか耐えてる、疲れているのかあたしも笑い出しそうになってしまった。危ない。

「ひどい…ひどいぞ…口の方はまだまだ問題児だなセキくんよ」
「黒歴史をほじくり返すのはやめろ!黒歴史真っ盛りの格好したやつに言われるのも腹立つわ!あんた何歳だ!」
「21歳だ」
「自信満々に答えるな」

 そんなコントに腹筋を擽られながら地上に辿り着く。道中のアジト内はもぬけの殻だった。言葉通りだ、誰も、人っ子一人ポケモン一体さえいなかった。

「完全に逃げられたな」
「次に彼らが行動に出た時は逃がしません。必ず…ですよね」
「流石一度その手の出来事を対処しただけある…期待してるよ、アズサくん」
「不名誉すぎてそして不服です…」

 あの人たちはなんのために動いているんだろう。ラムダさんの言葉も、アテナさんのあの顔も。なんでなんだろう。なんであんなに悪党からかけ離れているんだろう。


金名声、それか愛情
(彼らの狙いとは)

アテナさんはもののけひめのエボシさまみたいな豪快な笑い方のイメージ




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