※只の戦争コンビ。超軽度の暴力表現
何時もと雰囲気が違うのは仕様です。言葉遣いが悪いのも仕様です




怒号。衝撃。爆音。一瞬の静寂。
立ち昇る土煙はまるで硝煙の様だと臨也は思った。
腹の、いや身体の一番深い所から込み上げる興奮を抑えもせず喉へと押し上げた。直後声帯を震わせて口から吐き出されるのは狂った様な笑い声。身体を震わせて笑う臨也の目には狂気。一頻り笑い終えると、臨也は、先程飛んで来た、そして今は無残にも彼の足元の少し前で地面にめり込み沈黙している自動販売機に勢い良く片足を掛けた。ガツン。ガキン。大きく金属が絶叫する。そして再びの静寂。臨也の口角はそれでも上がる。まるで沈黙が訪れると笑ってしまう、空気の読めない糞餓鬼の様だった。

「うっわ、毎回毎回思うけど、その力信じられない。本当に人間の力じゃないよ、それ。」
「黙れ死ね腐り落ちろ。」
「嫌だ。」

ニタリといやらしい笑みを浮かべる臨也。そして対峙するのは同じく笑みを浮かべた静雄だった。勿論彼のそれは、心根優しく純粋な少女の浮かべる無垢なそれでは無い。額に青筋を立て、目を奇妙に見開き、口元をひく付かせた笑顔。いや、笑顔ではない。肉が強張った結果笑顔の様に見えている。それが正解だ。バキン。静雄の指の関節が不吉な音を鳴らす。手の甲の筋が張っている。今にも怒髪天を突く惨状であった。それでもやはり臨也は笑う。笑う。笑う。

「ねえ、シズちゃんってマゾな訳?毎回俺に、飽きもせず存在を否定されに来るってそういう事なの?」
「あぁ?それを言うなら手前だろーが。毎回毎回俺にボコされに来てんじゃねえかよ。」
「そんな訳無いでしょ。池袋に来るのは趣味7割、お仕事3割の為。ボコられるのは趣味でも仕事でも無いから。誰が好き好んで君に殴られに行くか。自意識過剰なんじゃないの?」
「手っ前……!」

怒号。静雄の片手に収まっていた標識が空気を切り裂く。臨也は跳び退る。地面にめり込む標識。標識に塗られていた塗料がこそげ落とされ辺りに散らばった。散らばる赤、赤、赤。これは「止マレ」の標識だったに違いない。うわあ血痕みたいだこの標識殺しと臨也が笑う。すかさず静雄の拳が飛んで来た。臨也がナイフを携える。拳を避ける。避け様に刃を振り抜いた。裂けるカッターシャツ。しかし静雄の皮膚はナイフを拒絶する。臨也が舌打ち。静雄は怒る。ああもう意味が分からない皮膚だなシズちゃん死ねよ。再び刃が走る。一閃。静雄は避ける。いや避けきれない。腕に一筋の切り傷。伝う血液。静雄が舌打ち。臨也は笑う。

「まあでもさ、ゾクゾクするよね。こうやって色んな所剥き出しで、ギリギリの所を生きるっていうのも偶には良いかなあ。こう……アドレナリンがばーっと出てる感じでさあ。……ま、偶には、だけどね。俺は基本的に俺に対して事無かれ主義だからさ?」
「ゾクゾクなんかしねえよ。気色悪ぃな、この変態野郎が。つーか、手前にしちゃ、随分頭の悪い事言ってんだな。頭がオカシイのは前からだけどよ!」
「うわ、シズちゃんにだけは言われたくない台詞を言われちゃったなあ……。でも、まあ、人間なんてそんなものさ。結局理性より欲だ、そして本能だよ。セックスも酒も良いけど、人間には破壊衝動もあるからねえ。ん?『破壊衝動』って言葉、理解出来るかな?バァカ。」
「……マジで、手前、五月蠅えんだよ消えろ死ね!!」

ガードレールが轟音を立てて抜かれた。バキャア。先程とは違う声音の金属の絶叫。静雄がガードレールの白く塗られた巨体を振りかぶる。嗚呼これ当たったら死ぬな。確実に死ぬな。絶対に死ぬな。さあどうしよう。どうしよう!どうしよう!!神経を精神を命を擦り減らしながら、臨也は笑う。さあどちらに避けようか。左か。右か。それとも上かいや後ろか。当たったら死ぬ。けれどこれを避ける事が出来たなら、きっと果てしない快感が襲うだろう。正に絶頂だ。生きるか死ぬか、天国か地獄か、昇天か堕天かイくかイかないか。

「――最っ高だ……!」

視界が赤く点滅する。頭が熱くなっていく。そんな中ただ臨也の背筋だけはゾクゾクと粟立つのだった。



翻訳不可能
Come on,light my fire!!


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