告げられた言葉

「…………なぁ、シエル」


再びパルマコスタの人間牧場へやって来た。総督からカードキーと暗証を教えて貰い、ニールに一般市民を移動してもらって、管理室へ向かっていた途中だ。先頭を歩いていたのはシエルとロイド。急に彼らが立ち止まるものだから、自然に私たちも立ち止まる。振り返ったロイドの表情は、真剣そのものだった(あまり期待しない方がいい気がした)


「……………管理室って…、どっちだ?」
「殴るぞ」
「な、殴ってから聞くなぁ!!」

スタスタ歩いているものだから、てっきり知っていると思った。が、やはりロイド。知らなかったらしい。丁寧にシエルから一発ゲンコツを食らっていた。(昔なら幼馴染みから食らっていた立場なのに、ね?)



「知らなかったのロイド!僕、知ってると思ってたのに…」
「知ってるわけねーだろー?てか何処だよ此処」
「迷子…って?冗談じゃないよ!」
「しいな、迷子なの?」
「コレット!あんたも迷子なんだよっ!」
「テメェらいっぺん黙らせるぞ」
「「「「すみませんでした」」」」

華麗なやりとりを続ける彼らに、いい加減呆れてきたのかシエルが笑顔で振り返りながら、その手にいつの間にかローレライの剣を握っていた。いつでも手に出来る剣の存在に、すっかり子供組は恐怖心というものを植えつけられているらしい。この間の一件から(すなわち、シエルを怒らすな)


「困ったわね」
「ロイドが先頭では無理があったわね」
「…確かに、その通りだ」

完全に八方塞がりの迷子状態もいいところだ、とリフィルとクラトスが頭を抱えているのを視界の隅で見つけて、ご愁傷様、と呟いた私はすっかり他人気分。


「なー姉さん!道知らねーのか?」
「嫌ねロイド。私たちはいつでも牧場に潜入してるわけじゃないのよ」
「あ、コレット。次は右だから」
「分かったよシエル〜」

笑顔でロイドに答えたところ、シエルがコレットに指示を出していた。ちなみに先日、総督と話し合いのあとパルマコスタに一泊した時にちょろっと立ち寄ったのよ。侵入してないわ。立ち寄ったの(力説)

「潜入してんじゃん」
「忍び込んだね」
「忍び込んだわね」
「侵入したのか…」
「やるねぇ〜」
「「立ち寄っただけ」」
「セレネ〜シエル〜次は〜?」


そんな会話をしている間にコレットの姿がいつの間にかなかった。慌ててロイドがコレットを追い掛けて行ったのをシエルが追い掛けて行ったのを私たちが追い掛けた←


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