行く先にあるモノ
パルマコスタ牧場へ向かうことになった。ロイドはもちろん、コレットやジーニアス、しいなも、情報を信じきっている。ショコラが囚われた、というのは本当だろう。ただ、パルマコスタの軍も出る、ということに違和感は拭えない。
「どう思う?」 「私は何とも言えない、わね。ショコラが囚われたのは本当だろうけれど…」
リフィルの問いかけに曖昧に答えておく。それは、今ここでははっきりと答えは出ない。しかもロイドたちは止まらないだろう。だから、私たちがこうして後ろを歩いているのだけれど。
「実際…そうなんだろ?ショコラは囚われた。ただ、パルマコスタがどう出るか…ってのが気になるところだよな」 「ディザイアンが何故、軍事力を持つパルマコスタを放置しているなのか、だ。問題は」
シエルもクラトスの言葉に頷く。もう、今ここで話し合いをするのは得策ではないだろう。そのことを思い、小さくため息をつく。ロイドたちがこのことに気付いているとも思えない。だから、ため息をついた。
「今は答えは出ない、わね」
ただ、ロイドたちがこのまま牧場へ突入しないことだけを祈っておきましょうか。そう思った矢先だった。パルマコスタ牧場の近くまで寄った時、見慣れた人影が見えたのだ。それに、リフィルが顔を顰めていたのがよく見えた。
「お待ち下さい、神子様!!」
嫌な予感がした。その私の嫌な予感は、ひょっとしたら預言並みに当たるのかもしれない、なんて。ニールの次の言葉を聞きながらひそかに思った。隣で、シエルもため息をついていたように聞える。
「ニール、ショコラが捕まったんだって?!」
ロイドの声は聞いていたものの、嫌な予感は拭えなかった。ニールに誘導されながら、茂みに隠れられるところへ入った。ただ、ニールの表情は暗い。それを見たリフィルは密かにため息をついていた。
「…あまり良くない話みたいね、」
呆れた、とでも言うような呟きにニールはうつ向いた。それの意味が分からず、ロイドたちは首を傾げていた。私たちの嫌な予感、推測がそのまま進んでいるような気がした。
「神子様たちには、このままパルマコスタ地方を出て頂きたいのです」
あぁ、嫌な予感が当たった。(あの日に似てる)(ただの、生贄、みたいなものだ)思わず、顔をしかめる。それは誰も追求せずにいた。目の前の、事態を理解するのに必死、みたいで。
「なんで?パルマコスタ軍と連携を取ってショコラを助けるんじゃないの?」 「…それが……」
ジーニアスの質問に、ニールは何故か煮えきらない様子で、はっきりとは答えなかった。 そんな中で、呆れたようにクラトスがぽつりと呟いた。小さな呟きは、静かな辺りに響くには十分すぎる大きさだった。
「……罠か」 「嫌な方の予感が当たったわね」 「クラトス!先生!どういうことだよっ!」
同じように、今度ははっきりと言ったリフィルとそれからクラトスの方へ、ロイドは声を上げながら振り返る。ロイドと同じく振り返ったジーニアスやコレットとは対照的に、しいなは、何かを感付いたらしい。
「そういうことよ。ディザイアンが軍事力を持つパルマコスタを放置しておくはずがないわ。もし放置しているとしたら、それは利益になるか、無害かのどちらかよ」 「無害…ってことはないんだろうね。パルマコスタは軍があるんだから」
私の話を聞いて、しいなはそれとなく察したらしい。もちろんジーニアスたちも理解したみたいだけれど、いまいち反応が薄いのはロイド。私の説明を聞いていたニールは、少しやりにくそうに頷いていた。
「おっしゃる通りです。ドア様は神子様たちを罠に陥れようとしています」
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