動き出した思惑
「というわけで潜入するから」 「あぁぁぁ!ディザイアンがいるー!」 「話を聞いてろロイド。俺だから」
説明した上でディザイアンの格好をしているシエルに、何故かディザイアンがいると解釈したロイドが、剣を抜いてシエルに向かって投げたところ(投げるなよ)その剣を弾き飛ばして再び説明を始めるシエル、なんてコント(?)もありつつ。
「……ど、どこで手に入れたの…」 「夜中にシエルと忍び込んで来たのよ」
少し驚いていたリフィルに私は笑顔で答える。なんでそんな無茶を…!と少し泣きそうなジーニアスは見なかったことに。
「誰かさんたちが隠密行動が苦手そうだから、シエルに内部地図覚えてもらったのよ」 「………助かった…」 「言うと思ったわ」
クラトスに心の底からのお礼を受けながら。やっぱり苦労していたらしい。いや見たら分かるが。目の前では誰がディザイアンの格好をするか、で揉めていた。ちなみに自ら志願したロイドは断固拒否。ディザイアンはロイドを狙っているんだから、ロイドがいなければ話にならない。そういえば、一応通じたのか…不満そうな表情はしていたけれど。結局、シエルと私とちゃっかり服を持っていたしいなが変装することになった。まぁ私たちは昨日着たし…。理由は服のサイズなんだけれどね←
そんなわけでロイドたちを生け捕りにしたと、偽の方向を済ませ内部に潜入。一応安全なところは調べてあったので、そこまで移動してからディザイアンの服を脱ぎ捨てる。目の前のモニターには監視用なのか、沢山のエクスフィアが流れてきている様子が映し出されていた。
「ここはエクスフィアの製造所なのね…」 「……そのようだな、」 「これが全部エクスフィアか…すげーな」
リフィルの言葉に、気まずそうなクラトス。それとは対照的に少し興奮しているのか、大きめ声を上げるロイド。しいなやジーニアスも声にはしていないが、驚いているように感じた。私はシエルは、昨日忍び込んだときに…エクスフィアが人によって生成されることを知ってしまったから、なんとも言い難い。
「結局、預言も同じだったのかな…」 「なにが?」 「何かを犠牲にしているということよ」
シエルに笑いながらそう言った。別に同じ、とは言わないけれど。ため息をつかれたりしたんだけれどね← 部屋の中を珍しそうに見渡すコレットを見た。結局は、世界再生も似たようなものかもしれない。誰か1人の犠牲で世界が救われる。犠牲があっての救いなんて、信じたくない。かつて私たちが探した道は存在しなかった、なんて思いたくない。
シルヴァラントが再生されれば、次はテセアラに衰退の兆しが訪れる。すぐに、テセアラが再生されるとは思わない、けれど。あの人はどうなるだろうか、しばらく忘れようとしていたことは、忘れられることじゃなくて。行き場のない手をどうしたらいいのか、分からなくなった。
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