蒼い影

「ふ、ふふふふ…はーっはっはっは!!見よ、これが彼の有名なアスカード遺跡だ!!」

ようやく、何とかアスカードに着いた私たち。本来ならば、マナの守護塔の鍵を持っている人を探さなければいけなかったのだが。何故か。町に入って真っ先にリフィルが走って向かったのは、アスカードでも有名な石舞台。私たちが追いついた頃には上の台詞。あぁ、他人のフリをしたいわ。

「…なぁ、ジーニアス?俺の中ではかなりリフィルの株は高かったんだが」
「うんシエルの言いたいことは分かるからとりあえず何かごめん」

通称遺跡モード(誰がつけたのかしら)を見るのは初めてなシエルは少し、いやかなり?引きながら隣にいたジーニアスに聞いていたが、ジーニアスは完全拒否体勢。私とクラトスはそんな仲間から少し離れたところで、他人ですオーラ全開でぐちぐち文句を言ったり言わなかったりしていた。

「…このまま行って、救いの塔にはいつ着くのかしらね」
「つかないかもしれないな」

演技でも言わないで欲しかった(そうなりそうで怖いから)なんてことがあったりしながらも、現在は一人でアスカードの町並みをボケッと見ていたりする。


どうやらあの石舞台は普段は一般人立ち入り禁止らしく、追い返されてしまった私たち。ようやく進める、と思ったのもつかの間で。リフィルが石舞台を破壊しようとしていた人たちに、説教の2時間3時間はしないと気が済まない!とか言い出して。仕方なしに私たちはその人を探していた。因みに私はサボってこんなところにいたりする。みんなはその人物を見つけたのか見当たらない。




…はずだったのに、どうしたのだろうか。何故か私の目の前にはまだ少し慣れない蒼い髪。


「セレネ、なにやってんだよ」

目の前に立っているシエルは笑っていた。もちろん、ちゃんと笑っているのだけれど。どうしてか、目だけが綺麗に笑っていない。いつの間にあんなスキルを身に付けたのかしら。

見つかった。しかもよりによってシエルに見つかってしまった。最近、やたらと過保護になっている気がする。多分、気のせいではない。目の前で笑っているシエルは地核で鶏だけでなく、あの腹黒導師とも大爆発したんじゃないかと思う。そうじゃなかったらあんなに黒くならないわ。行くぞ、なんて手を引かれて。まぁ仕方ないか。と思い、そのまま歩き出したシエルの後ろを歩く。


「あれだけ音素が不安定なのに、一人でふらふらしてんなよ。マジ焦った」
「…………チッ」
「おいなんだその舌打ち」

気付いていたのか、と思わず舌打ちをした。…私もずいぶん性格が戻ってきた。なんて考えていたりしたが。

あの辺り、石舞台の辺りのこと。町長だかの話によれば、目覚めてしまった風の精霊が怒ってるとかなんだとか(よく聞かなかった)…風の精霊のせいだとして、精霊って言うくらいだから"負"にはならないはずなんだけれど。なのに何故、あんなに第三音素が不安定になっていたのかしらねー?


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