真螢で幼なじみパロっぽいもの


【重ねて行く時間――5】


ついにきてしまった。
高熱で伏せりながら、真冬はぼんやり考えていた。
真冬は霊的な素質が人よりずば抜けて高い。
それは霊に対して強くもあり、また弱くもある。
影響を与えやすい反面、影響を受けやすいのだ。

「真冬、大丈夫か?」

ぼうっとする頭に、聞きたかった声がする。
目を開けると、そこには心配そうな顔をした螢がいた。
大丈夫だと返したかったけれど、簡単には声が出てくれなかった。
どうしてだろう。
螢が傍にいると、少しだけ体が楽になった。

「け、いさ…」
「水だけでも飲め」

差し出されたストローを加え水を飲む。
水分を吸収しながら、真冬は少しだけ楽になった体を起こした。
螢が心配そうに見遣るから、小さく笑う。

「倒れたなんて聞いたから驚いたぞ」
「すみません…自分でも気付いていなくて…」

嘘を吐いた。本当は気付いていた。
けれども、どうすることもできないだろうから黙っていたのだ。
それに妹や母に話せば、心配かけてしまう。
倒れてしまっては意味がないけれど。

「無理するなよ?」

心配そうに螢が言うから、真冬はただ困ったように笑うしかできなかった。
小さい頃からたびたび倒れることがあった。
そのたびに螢は心配そうに真冬の目をのぞき込む。
本当はバレているのではないか、と不安になる。
けれども、螢がそれ以上追求してくることはないし、きっと大丈夫なのだろう。

「大丈夫、ですから」

真冬が笑ってそう言うと、螢の手が真冬の額に触れた。
暖かい。触れた瞬間、それまであった体の重みやつらさはすべて消え去った。

「え、螢さん…?」
「何かあったらすぐ言えよ」
「ありがとう、ございます」

気付かれていてもいなくても、きっと螢は変わらない。
真冬は安心したように笑った。


おわり


11.01.08〜

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